結婚について、悩んだことはありますか?
この記事では、エリヤキム・キスレフさんの書籍「「選択的シングル」の時代 30カ国以上のデータが示す「結婚神話」の真実と「新しい生き方」」を取り上げます。
近年、“結婚しない人が増えている”という話を聞いたことある人も多いと思います。
また、そうした人の中にも、本当は結婚しなきゃいけない!と思っている人も多いでしょう。
一方で、周囲のプレッシャーに負けて結婚をしてみたものの、“本当にこれで良かったのか?”と疑問を持っている人もいるかもしれません。
本書では、30を超える国のデータベースの分析と142人のシングルの方々への個人的インタビューをもとに、シングルの真実を教えてくれます。
これを読めば、シングルに対する見方がガラッと変わることは間違いなし!
それではさっそく、中身を覗いてみましょう!
1. シングルの時代の到来
私たちは現在、シングルの時代を迎えています。
いきなり過言ではないかと思える主張。
この現象を理解するために、日本の状況と先進国全体の状況の二つの視点から解説していきます。
まず日本に目を向けると、シングルの人々が増加していることが顕著です。
国立社会保障・人口問題研究所の統計によれば、18歳〜34歳の未婚者の中で交際相手がいない人の割合は、男性で約70%、女性で約60%に達しています。
これは2010年と比較して約10%、2005年と比較して15〜20%も増加しています。
さらに、男性の約30%、女性の26%は恋愛を望んでいないと回答しており、性行為の経験がない人の割合も40%を超えています。
コラムニストの深澤真紀さんは、性的な関係に興味を持たない男性を指して「草食男子」という言葉を提唱し、この言葉は日本の男性像が根本的に変化していることを示しています。
ではなぜ、草食男子は増えているのでしょうか?
先進国全体でのシングルの増加
このシングルの増加は日本だけでなく、先進国全体で見られる現象です。
その要因としては、個人主義、大規模な都市化、長寿化、コミュニケーション革命、女性の権利向上などが挙げられます。
これらは、19世紀後半〜20世紀前半にかけて先進国で進行しました。
例外的にアメリカでは、第二次世界大戦後の1950年代に一時的な結婚ブームがありましたが、1970年代に入ると再びシングルのライフスタイルが増加しています。
大量消費主義や資本主義に基づいた個人主義が、強調されるようになったためです。
国際連合のデータによると、シングルの割合が多い地域は先進国を中心に広がっており、これは世界的なトレンドであることが分かっています。
2. 幸福なシングルシニアたち
次に、“幸福なシングルシニアたち”というテーマに焦点を当てて、解説していきます。
私たちはなぜ結婚するのか?
まず、私たちはなぜ結婚するのかを考えてみましょう。
多くの人々が結婚を選ぶ背後には、一人で老いていくことへの恐れや、死の瞬間に誰もそばにいないという恐怖が潜んでいます。
これは、病気や孤独に苦しむ老人のイメージと密接に関連しています。
私たちの多くは、このような運命から逃れるために結婚という選択肢を探求しがちですが、著者はこの考え方に疑問を投げかけています。
結婚は本当に孤独からの解放となり得るのか?
結婚は本当に孤独からの解放となり得るか?
結婚を支持する人々は、カップルや家族として生活することで孤独を防げると主張します。
しかし、これは全ての年齢層や状況において、常に当てはまるのでしょうか?
欧州社会調査のデータを基にした分析では、結婚による孤独からの解放の効果は年齢と共に低下し、78歳になると、そもそも結婚しなかった人々の方が幸福であることが示されています。
これは、離婚や配偶者の死別を経験した人数が多いことが影響しています。
これらの人々は、孤独や不幸を感じる度合いが結婚していない人々や現在も結婚生活を続けている人々よりも強いと言えます。
結局のところ、シングルシニアが幸福であるかどうかは、結婚の有無だけでなく、その人の人生観や価値観、社会とのつながり方に大きく依存していると言えるでしょう。
シングルであっても、充実した人生を送ることは十分に可能です。
3. 幸福なシングルの未来
ここからは、幸福なシングルの未来について、2つの重要なポイントを解説していきます。
シングルと友情の未来
まずは、シングルと友情の未来について。
多くのシングルは一人暮らしを好む傾向にありますが、友人と共に暮らし、お互いに頼り合うことが、今後は一般的で魅力的な選択肢となると本書は予測しています。
人生の様々なステージで友人と共に暮らすことには、財政的、身体的、感情的、社会的な利点があります。
これには法的な協定が必要になるかもしれませんし、社会的な儀礼が行われることもあるでしょう。
そうした状況下では、”恋愛関係ではない友人との同居”という新しいタイプの結婚や個人の立場が出現するかもしれません。
これまで社会統計では見落とされていたこのカテゴリーは、結婚の時期が遅くなり、結婚する人が少なくなる傾向が強まっている昨今、若者のトレンドではなく、別個の社会的カテゴリーとして認められるべきだと著者は主張します。
ある研究者は、シビル・フレンドシップ(社会的友情)というコンセプトが提案されており、これにより友人同士がお互いの世話をし、一緒に暮らす関係が、今後法的に認可される可能性があります。
これは、結婚やシビルユニオンと似たような関係を法的に認めることを示唆しており、シングル同士の友人たちに対する差別を防ぐために必要なものです。
シビルフレンドシップ協定による法的な保護があれば、同居し相互に支え合っている友人たちも、税制優遇や被雇用者と雇用主の権利、病院への訪問、財政や相続上の優遇などの重要な保護と権利を手に入れることができます。
これにより、シングルの人たちも友人と共により良い未来を築くことができるでしょう。
シングルとコミュニティの未来
次に、シングルとコミュニティの未来について考えいきます。
シングルのコミュニティの存在は、シングルのウェルビーイングと幸福なシングルの時代の発展にとって非常に重要です。
コミュニティに属しているという感覚は、人の主観的なウェルビーイングに良い影響を与え、対照的にコミュニティの欠如は寂しさや落ち込み、孤立や疎外感と結びついています。
コミュニティに所属しているという感覚は、特にマイノリティのグループにとって重要であり、人種差別やその他の差別を克服するためにも大きな役割を果たしています。
同様にシングルの人たちも、マイノリティと同様にコミュニティを組織することにより、多様な面で利益を得ることができます。
グループを結成し、お互いを支え合い、助言し合い、共に過ごすことで、シングルの人たちも独身差別の影響を受けずに、よりポジティブな未来を築くことができるでしょう。
そのようなコミュニティはまだ発展途上ですが、将来はより多様な形を取る可能性があります。
例えば、特定の利害を共有する人たちが集まってコミュニティを形成することもありえますし、それぞれのコミュニティが独自のシステムとルールに従って異なる交流の仕方をするようになるかもしれません。
また、シングルの人たちが特定のエリアや都市の中心に集まるようになるかもしれません。
地理的に結成されたコミュニティの場合、将来必要になるかもしれない居住の選択肢や地方自治体のサービスに関して、さらなるニーズが出てくるでしょう。
今回紹介した、エリヤキム・キスレフさんの書籍「「選択的シングル」の時代 30カ国以上のデータが示す「結婚神話」の真実と「新しい生き方」」についてまだまだ紹介できていない部分が多いです。おすすめの本ですのでぜひ読んでみてください!