マクドナルドのハンバーガー、食べたことありますか?
当たり前すぎる質問でしたが、“犬も歩けばマクドに当たる”、というほどにマクドナルドが拡大したのはなぜでしょうか。以下の表にあるとおり、モスバーガーやバーガーキングといったハンバーガーチェーンは数あれど、マクドナルドは圧倒的な売上高を誇っています。
この記事では、そんなマクドナルドが最強になれた理由の一端を知ることができる映画を、表と裏という捉え方で2つ紹介します。
1.(表) ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ(2017、115分)
まず表として紹介するのは、マクドナルドの創業者レイ・クロックの生き様で振り返ることのできる映画が「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」です。
本作では、1954年に52歳でマルチミキサーのセールスマンをしていたレイが、注文してから20分は待たされる時代に、わずか30秒で料理を提供する「スピード・サービス・システム」を考案したマクドナルド兄弟と出会い、そこに可能性を見出すところから物語が展開されていきます。
職人気質で品質を重視し、フランチャイズ化を渋るマクドナルド兄弟に対し、ゴリゴリに強引な説得でフランチャイズ化とパートナーの座に付くレイ。
チェーンの規模は自分たちの目の届く範囲に留め、品質を保持したいという考えのマクドナルド兄弟と、空気を読まず勝手にチェーンをどんどん増やし、事業拡大・利益優先で動くレイとの間には徐々に溝が深まり、やがて裁判沙汰の全面戦争に。
ユニクロの柳井社長や、ソフトバンクの孫社長など、日本を代表する経営者が尊敬する、カリスマ中のカリスマ、レイ・クロックを「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」でアカデミー主演男優賞にノミネートされたマイケル・キートンが圧倒的熱量で演じる本作を観れば、マクドナルドがここまでシェアを獲得できたことにも納得できるはずです。
2.(裏) スーパーサイズ・ミー(2004、98分)
次に裏として紹介するのが、監督自ら実験体としてファストフードの闇に挑むドキュメンタリー映画「スーパーサイズ・ミー」です。
映画は、ある少女2人が肥満の原因をファストフードのマクドナルドにあると裁判で訴えるシーンから始まります。マクドナルド側は肥満の原因であることは立証できない反論すると、この告訴は退けられます。
しかし、原告側に毎日毎食マクドナルドを食べ続けることが危険だと示せれば、再提訴も可能とされ、それに触発されたモーガン・スパーロックは自らを実験台に30日間マクドナルドを食べ続ける過酷な挑戦を計画。
- 水を含め全ての食品をマクドナルドにする。
- 1日3食必ず食べる。
- メニューは一通り1回は食べる。
- スーパーサイズを店員に進められたら断らない。
- 1日の歩数をアメリカ国民の平均である5,000歩以下とする。
というルールを定め、マクドナルドの商品を食べ続ける挑戦を始めます。挑戦3日目にして、気分が優れず嘔吐してしまいますが、それでも何とか挑戦を続け、11kgの増量や脂肪肝、体脂肪率7%上昇といった結果を記録。
サンダンス映画祭にて、この作品が公開されてから約6週間後、マクドナルドはスーパーサイズの販売中止を発表。しかし、この映画とは何の因果関係もないと公表しました。
最近ではサラダなどのヘルシー志向を謳うようにもなってきましたが、人々を魅了し続ける商品の裏側に潜む、知っているようで目を瞑ってしまっている事実にスポットを当てた内容になっています。
3.(おまけ) スーパーサイズ・ミー2 ホーリーチキン(2019、102分)
最後におまけとして、スーパーサイズ・ミーの続編、ホーリーチキンを紹介しておきます。
前作によってアメリカの有名人となったモーガン監督が、あるファストフード店へ暴露を目的に来店してみたら、そこは非の打ち所がないくらい健康的で透明性のある”優良ファストフード店”だったというCMのオファーを受けるところから物語は始まります。
そこで、「本当にファストフード店は優良な店舗ばかりになったのか」を調べるために、なんと自らチキンサンドイッチのファストフード店を経営して答えを探ることにします。さすがの行動力ですね。
結果としては、農務省のガイドラインに明確な規定がないことから、「放し飼い」「100%ナチュラル」などの文言を、意味が曖昧のまま使用できるといった業界の闇が暴かれていくのですが、前作にも増して踏み込んだ内容で見応えがあるので、こちらもぜひ。
今回は、マクドナルドに焦点を当てた2つの映画を紹介してきました。ここまで成長できた礎としてのビジネスの側面と、巨大企業ならではの歪な産業構造を見ることで、ただ安くて美味しいハンバーガーのお店も違って見えてくるのではないでしょうか。