あなたは、一生持っておきたいと思える本が何冊ありますか?
何度もすり減るくらい読み返したくなる本に出会えたら、素敵ですよね。書棚にぎっしり並べられた本の壁に憧れたりする一方で、電子書籍で十分と思えるものもたくさんあったり、本との距離の取り方って難しいものです。
この記事では、本の内容だけでなく装丁まで面白く、インテリアとしても手元に残しておきたくなる、買って愛蔵間違いなしの本を3冊紹介します。
1. 本そのものが1頭の豚!PIG 05049
始めに紹介するのは、1頭の豚を原料として作られるあらゆるものを掲載した、PIG 05049です。
豚といえば食用のイメージが強いかと思います。しかし、チューインガムから弾丸まで、一見これが豚からできているの?と疑ってしまうようなものもたくさんあり、複雑化したこの世界で原料と生産者・製品・消費者の結びつきを捉えることがいかに難しいかを気付かさせてくれる1冊です。
著者はChristien Meindertsma(クリスティン・メンデルツマ)さん。オランダを拠点とするグラフィックデザイナーです。本書は3年の年月を費やして「05049」とナンバリングされた1頭のブタから生産されるすべての製品を調べあげた辞書のような構成をしており、その品数はなんと185種類もあります。
見開きの半分が原寸大(1:1)で収録された製品のビジュアルでできていて、その使われ方の多様さに驚かされます。背表紙には実際に豚に付けれらるタグを模したバッジが遇らわれていて、書棚に並べた時のインテリアとしての存在感もバッチリです。
2. 美しい断面が食欲をそそる!HAMBURGER GOURMET
2冊目はその名のとおり、おしゃれなハンバーガーが数多く登場するHAMBURGER GOURMET(ハンバーガーグルメ)です。著者はDavid Japy(デイビット・ジャピ)さん。100%肉または魚のレシピから、混合肉、はたまた野菜のバーガーまで、多様な58種類のレシピが掲載されています。
特に出来上がりの断面写真(下) が美しく、各層のグラデーション、バンズへのソースの染み込み方は食欲をそそります。英語の本なので実際に食材を揃えたり、作ったりするには抵抗があるかもしれませんが、こんなハンバーガーを1度は作ってみたい!と思うこと間違いなしの1冊です。
3. ブックデザインの神様!イルマ・ブームさんの本
最後は本そのものではなく、過去に300冊以上の装丁を手がけてこられたデザイナーのIrma Boom(イルマ・ブーム)さんを紹介します。
イルマさんはオランダ・アムステルダムを拠点に活躍しているグラフィックデザイナーで、ブックデザインに関しては素材を生かした五感に訴えかける仕事で多くの人を惹きつけ、ニューヨークタイムズ紙に「現代最高のブックデザイナー」と評されるほど世界的に注目されているデザイナーです。
一例として、シャネルに依頼され、CHANEL NO.5のプロジェクトの中で作った『No. 5 Culture Chanel』(2013年)(下) があります。この本にはインクが一滴も使われておらず、アルミ板で各ページのデザイン型を作り、その型にページを押しつける古い活版印刷機の製法によるエンボス加工でできています。
また、本の厚さ5cmと、香水の「シャネル N°5」の製品名と合わせているところも芸が細かいです。
ブームさんの本はニューヨーク近代美術館(MoMA)の永久収蔵品となったものも多く、アート界からも熱い視線を送られている、まさにブックデザインの神様的な存在です。
1986年〜2013年の彼女の全仕事を収録した「The Architecture of the Book 『XXL』(2014)」(下) は800ページ以上の超ボリューム、360mm × 475mmという大判サイズで29万5,650円と、まさにアート作品として一生ものの買い物にふさわしい1冊になっています。