あなたは、日々脳を上手に使えている自信ありますか?
この記事では、青砥瑞人(あおとみずと)さんの「BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは」を紹介します。本書は、
- 何事にもやる気が出ない
- ワクワクすることがしたい
- 効率よく目標を達成したい
という方にオススメです。
なぜなら、これらすべてはやる気に関わる“ドーパミン”という脳内物質が深くかかわっているから。やる気ホルモンであるドーパミンは、生存や快楽に紐付いているため、人を衝き動かすパワーが段違いに強いです。
私たちは日々、ドーパミンに操られていると言っても過言ではないでしょう。逆に、ドーパミンを味方に付けることができれば、人生は好転させることもできるのです。
ドーパミンとの正しい向き合い方を、一緒に学んでいきましょう!
1. ドーパミンが人を操る仕組み
まず、ドーパミンを理解する上で、大事なポイントが3つあります。
快楽に関わるということ
ドーパミンは人のやる気、活力、モチベーション、集中力、記憶力に影響を与えますが、これはドーパミンの分泌により、私たちは快楽を感じることに起因します。
報酬予測と報酬獲得
ドーパミンが分泌されるタイミングは大きく2つ、報酬予測と報酬獲得に分かれます。
報酬予測とは、例えば何かいいことがありそうだとか、何か美味しいものが手に入るかもというような予測したタイミングです。報酬を予測すると私たちはワクワクすると思いますが、このワクワクの正体こそがドーパミンです。
もう1つの報酬獲得は、何かおいしい食べ物を手に入れたときとか、お金を稼げたとき、目標を達成できたときや活躍できたときのタイミングになります。つまり私たちの脳では、まず報酬予測のタイミングでドーパミンが分泌され、やる気や活力や集中力が上がります。
そしてさらに、その報酬を獲得することができたときに分泌され、達成感を感じます。また報酬予測に基づいて私たちが一度快楽を得ることができた場合、その快楽をもう一度得たいと感じやすくなります。
分かりやすく言うと、もう一度あのお菓子を食べたいとか、もう一度あの達成感を味わいたいみたいな願望のことです。これが3つ目のポイントである強化学習です。
強化学習
強化学習とは、快楽を学習することで、もう一度それが欲しいという気持ちが強くなるというもの。
例としては、ビールを飲んだことがない人は、ビールを飲みたいと思うことはないですが、何度もビールを飲んでそのおいしさを知っている人は、ビールが飲みたくてたまらなくなりやすいといったことです。また人によって、どの脳の回路が強化されているかは異なります。
ビールを飲んだら気持ちよくなれるとか、筋トレをして筋肉がついたら嬉しくなれるとか、会社で昇進できたら嬉しくなれるといったように、ドーパミンが分泌されるパターンや量は人それぞれです。
そして、気づけば強化されやすい行動パターンばかりを繰り返しがちになります。筋トレで気持ちよくなることを覚えた人は、どんどん筋トレをする。基本的にドーパミンの分泌は、食べることや異性を獲得するといった、生存に有利な行動に紐づいています。
それは私たちにが生きる上で最大の原動力であり、日々ドーパミンに操られていると言っても過言ではありません。逆にドーパミンが強力であるからこそ、気をつけたい点もあります。例えば、依存症ビジネス。ギャンブル、ゲーム、スマホ、SNS、お酒、タバコ、薬物はいずれもドーパミンを出しやすいかたちで世溢れています。
しかしこれらは簡単にドーパミンを出せる代わりに、やりすぎると体に悪い、お金がかかるといったデメリットがあります。依存に気を付けて悪いモノだと決めつけず、ドーパミンを上手く味方につけられれば、理想の自分や人生に近づくために役立つのです。
2. ドーパミンを味方につける方法
ドーパミンを味方にすることは目標達成するうえで重要です。その方法は、3つのポイントで目標設定すること。
- 目標達成の価値を明確にする
- 目標を細かく分ける
- 適切にフィードバックする
です。
目標達成の価値を明確にする
達成したい目標について、それを達成した時のメリットは何なのかをとことん明確にしましょう。
例えば、給料が増える、家族が喜ぶ、上司にほめられるといったどんな目標であれ、達成前後のメリットが明確であればあるほど、私たちはそれを欲して脳内でドーパミンが分泌されます。つまり、やる気が出せるのです。
目標を細かく分ける
目標達成の価値をはっきりさせたら、今度はその目標を細かく分けましょう。
例えば、志望大学に合格する目標の場合、12月の模試では何点取って、10月の模試では何点取るには、今週は問題集を100ページマスターしようと決めます。そこから、今日は15ページ取り組もうといったように、目標達成から逆算して目標を細かく分けます。
なぜ細分化するかというと、目標達成までの道のりが遠いと脳内ではドーパミンが出づらくなるからです。大きな目標を中くらいの目標に分け、中くらいの目標を小さい目標に分けて、達成しやすい大きさにまで細かくすることは有効です。
年単位の目標であれば、そこから逆算して、月・週・日というように、とことん細分化してみましょう。細分化すれば、今日の目標は達成、今週の目標はまあ70点くらい達成といった感じで小さな達成感を積み重ねることができます。
この小さな達成感を得るときにドーパミンが出て達成感を感じつつ、さらにまたやる気が勝手に湧くということ仕組みです。
適切にフィードバックする
フィードバックとは、目標に対する進捗度の確認のことです。これでも、ドーパミンが分泌されます。先ほど目標設定の段階で、目標は細かくに分けると言いました。これらについて、毎回達成度をフィードバックするのです。
毎日、毎週の終わりに目標の達成率や、良かった点・悪かった点を振り返ります。また、24時間でも細かく区切ってフィードバックの回数を増やした方がよりいいです。
具体的には50分作業、10分休憩というようなやり方がオススメです。50分ごとの作業が終わる度に、やり終えたことを書き出します。こうすることでいいフィードバックとなって、達成できたことが目に見えるかたちとなり、ドーパミンが出て、また次の50分も簡単に頑張れるようになります。
作業と休憩の配分には個人差があるので、自分の体でいろいろと試してみてベストなやり方を探しみましょう。
3. 一番重要な脳内物質
ここまでドーパミンの話をしてきましたが、より大事な脳内物質があります。それは、セロトニンです。
セロトニンは、別名 “幸せホルモン”。例えば、睡眠不足の状況になると生存のための睡眠が優先され、高次な脳の機能を発動させることが非常に難しい状態になります。よって、脳のコンディションを整えておくことが、学習系や高次脳処理機能型のモチベーションを引き出すためには重要になってきます。
それに対して、脳の低次機能は生きることに関係しています。例えば、食べる、眠る、安全な場所に住むといったこと。
生物の本能として、まずはこれらの生きるための欲求を満たすために脳はエネルギーを使います。自分自身が生き残ることが、最重要だからです。
生きるために必要なことが満たされてから、自己実現のような高次なところにエネルギーを向けられます。その際に大事になってくるのが、セロトニンです。
やる気やメンタルの安定に関わり、気分を前向きにする、爽快感を与える、脳の機能アップ、幸福感アップなどの効果があり、日々の高次な作業へのモチベーションに関係してきます。
4. セロトニンの分泌方法
ではセロトニンは、どのようにしたら分泌されるのでしょうか?主な方法は、以下の3つです。
- 日光を浴びる
- リズミカルな運動をする
- よく噛んで食べる
セロトニンはよく、脳というオーケストラの指揮者とも例えられるのですが、ドーパミンやアドレナリンなどの各種脳内物質のバランス調整を行ってくれます。しかもセロトニンは、夕方に身体の中で “メラトニン” という物質に変わっていきます。
メラトニンは、別名 “睡眠ホルモン”。私たちに自然な眠気を感じさせて、睡眠の質を高めてくれます。
睡眠の質を高めると、寝ている間に細胞を修復し、頭や体を回復させてくれるだけでなく、抗酸化作用アンチエイジングの効果もあるため、老化防止にもなります。
メラトニンを多く分泌させるには、日中にいかにセロトニンを作り出せるかがポイントです。よって、朝起きてちゃんと太陽の光を浴びる、食事をよく噛んで食べる、日中~夕方くらいまでにできれば運動をするというようなことがとても大事になります。
またセロトニンは、“トリプトファン”というタンパク質と糖質、ビタミンを素に作られます。基本的にこの3つは普通にバランスの良い食事をしていれば、不足することはありません。
偏食せずに、バランスよく食べることが何より大事です。ちなみに、トリプトファンと糖質とビタミンを一品で全て含む食べ物は、バナナです。
恐怖や不安などのストレスが多い心理的危機状態になると、前頭前野の機能が落ち、脳のパフォーマンスが落ちます。前頭前野は、脳の高次機能を担う部分。だからこそ、心理的危機状態を避けて、心理的安全状態をつくることが重要になります。
この状態をつくるには、ここまで紹介してきた、
- 睡眠・運動・食事を整える。
- 価値観や目的、ゴールをはっきりさせる。
- あらゆる場面において最悪の状況を想定してみる。
といったことが、具体的な方法になります。
今回は、「BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは」を紹介しました。本書には、まだまだ紹介できていない部分が多いのでぜひ読んでみてください!