私が願ってやまないのはみなさんが、「ストレス=悪者」という先入観を捨て、良き人生のカンフル剤として有効活用していただくことです。
この記事では、ゆうきゆうさんの書籍「図解 眠れなくなるほど面白いストレスの話」を紹介します。本書は、
- 心身ともに疲れている
- ストレスについて理解を深めたい
という方におすすめです。本書では、ストレスの正体やその特性ストレスを溜めないテクニックやコントロールする方法まで、わかりやすく紹介されています。
ストレスフリーの環境で生きることは不可能に近いです。しかし、たとえ強いストレスを感じていたとしても、ポジティブな考え方に変えることができます。
今までの漠然としたストレスへの正体を知り、ストレスとうまく付き合っていくことができるようになるので、とてもおすすめの本です。
それではさっそく、中身をみていきましょう!
1. ストレスの正体
ストレスは、日常生活の中で受ける刺激に対する心身の反応です。
この反応には、ストレッサー(刺激)、認知的評価、そしてストレス反応の3つのメカニズムが関わっています。
ストレッサーとは、生活環境や外傷性、心理的な出来事から生じる刺激です。
これらの刺激に対して、私たちはまず、自分が対処可能かどうかを判断します。この心の判断過程が認知的評価です。
そして、この評価に基づいて、ストレス反応が生じます。ストレス反応は、不安、緊張、気分の落ち込み、頭痛、怒りなど多様な形で現れます。
ストレス反応の個人差
同じストレッサーに直面しても、人によってストレス反応の現れ方は異なります。これは、ストレス耐性に個人差があるためです。
ストレス耐性は、遺伝、性格、環境によって左右されます。
例えば、出来事を脅威と捉える人はストレスに弱く、成長のチャンスと捉える人はストレスに強い傾向があります。
また、うつ病の家族歴がある人、真面目で完璧主義な人、一人で問題を抱え込む人はストレスに弱いとされます。さらに、相談相手が少ない環境や強制された仕事をしている人は、ストレスを感じやすいと言えます。
ストレス対処の重要性
ストレスは避けられないものですが、ストレス耐性を高めるためには、自分の反応を理解し、ストレスの原因を明確にすることが助けになります。
また、信頼できる人とのコミュニケーションや、趣味、運動などのリラクゼーション活動も有効です。ストレスを感じたときは、自分に合った対処法を見つけ、心身の健康を保つことが大切です。
2. ストレスの理解とポジティブな対応
一般的に、ストレスは悪いものと捉えられがちですが、これは大きな誤解です。ストレスが必ずしも悪ではないことは、多くの研究で裏付けられています。
例えば、1998年のアメリカの研究では、ストレスをポジティブに捉える人は、そうでない人に比べて死亡リスクが低いことが明らかになりました。
また、ハーバード公衆衛生大学院の研究では、社会的成功者の多くがストレスを良いものと考えていることが判明しています。つまり、ストレスへの考え方(良い面もあると捉えること)が、その影響を大きく左右するのです。
ストレスの実害
しかし当たり前ですが、すべてのストレスが良いわけではありません。肉体的、経済的、社会的なダメージを伴う実害は、ポジティブに捉えることは難しいです。
例えば、過度の残業や低賃金などのブラック企業での労働は、肉体的、経済的、社会的なダメージをもたらす可能性があります。このような実害は、前向きに捉えることでプラスに転換することはできません。
ストレスと実害を正しく区別し、適切に対応することです。
ストレスのポジティブな反応
ストレスを受けると、人間の体にはポジティブな反応も起こります。
1915年のハーバード大学の研究では、ストレスを受けた猫が戦うまたは逃げる反応を示すことが発見されました。人間も同様に、ストレスがかかると「闘争・逃走」本能を示すと考えられています。
しかし、人間はさらに異なる2つの反応を示します。
一つは挑戦反応で、ストレスを受けた時に挑戦しようという気持ちがわき起こります。もう一つは思いやり効果で、ストレスを受けた時に人との結びつきを強める効果があります。
これらの反応は、ストレスをポジティブに捉えることで、人間ならではの強みとなり得ます。
これらの知見から、私たちはストレスを積極的に受け入れるべきだと言えます。ストレスは、挑戦の機会や人間関係を深めるチャンスとなり得るのです。
ストレスを受けた時には、まず実害があるかどうかを見極め、実害のないストレスであれば、心のエネルギーとして役立てることが重要です。
ストレスをポジティブに捉え、適切に対処することで、私たちの人生はより豊かになるでしょう。
3. 男性におけるストレス反応と対処法
ストレスは、過敏性腸症候群や睡眠障害など、様々な体調不良を引き起こすことがあります。また、心の健康にも影響を与え、うつ病や適応障害、パニック障害などを引き起こすリスクもあります。
これらのリスクを避けるためには、ストレスへの適切な対処が必要です。しかし、ストレスの感じ方には個人差があり、特に男女間で異なる傾向が見られます。
言語学的に見ると、男性は論理的な思考をする傾向があります。問題を抱えていても、一人で悩み、精神的に追い込まれることが多いです。
また、男性は自分の社会的ポジションを気にする傾向があり、他人との力関係や自分の立ち位置にナーバスになり、些細なことでストレスを抱えやすいです。これらの特徴から、男性はストレスに弱くなりやすいと言えます。
挑戦反応の発現
先ほど説明したとおり、ストレスを感じた時、人は挑戦反応か思いやり反応のどちらかを示します。挑戦反応は、ストレスを抱えた時に、その反動として何かに挑戦する気持ちが湧き上がることです。
例えば、失敗から学び、次の機会にはより良い結果を得ようと努力することが挑戦反応の一例です。このような出来事がきっかけとなり、大きなことを成し遂げることをリバウンド効果と言います。
男性は、辛い時も人に相談せず、自ら問題の解決を図ろうとするタイプが多いため、挑戦反応が起こりやすいです。精神的なダメージに負けず、それをバネにして問題解決を図ったり、新しい世界を切り開いたりすることが可能です。
このような行動は、ストレスの持つ優れた能力の一つと言えます。男性は、ストレスをポジティブなエネルギーに変えることで、新たな挑戦に向かう力を得ることができるのです。
4. 女性におけるストレス対処と思いやり反応
女性は、人間関係の中で自分の立ち位置を築くことに重きを置く傾向があります。これは、ご近所付き合いや職場の人間関係においても同様です。
女性は、人間関係がうまくいかないとストレスを感じやすく、仕事の評価や上司、同僚との関係性にも敏感です。このような重圧を乗り越えるためには、感情を整理することが重要です。
女性は感情の言語化に長けており、悩みや苦しみを周囲に相談することに抵抗が少ない傾向があります。対話を通じて感情を上手に発散できるため、ストレスに比較的強いと言えます。
女性は、思いやり反応によってストレスを解消することが多いです。
思いやり反応のメカニズム
思いやり反応は、人との結びつきを通じて困難や危機を乗り越えようとする反応です。この反応にはオキシトシンというホルモンが関わっています。
オキシトシンはストレスを感じると分泌され、人とつながり合いたいという気持ちを高めます。女性は、悩みや不満を家族や友人に話すことで、ストレスを乗り越える傾向があります。
女性は、感情を言語化するのが得意であり、心の中を人に聞いてもらうことにも抵抗がないため、思いやり反応でストレスに対処することが多いです。この反応は、人を助けたり、新たな恋愛を始めたりすることで、周囲の人への思いやりや愛情としても現れます。
思いやり反応は、ストレスをポジティブな思考や行動に変える力を持っています。ストレスは必ずしもネガティブなものではなく、対処の仕方や考え方次第で前向きな変化のきっかけになることができます。
5. ストレスを溜めない人の共通点
ストレスを溜め込まない人には、共通して心から楽しめる趣味や息抜きの時間を持っていることが挙げられます。読書、音楽鑑賞、カフェ訪問、友人との交流、ペットとの遊びなど、多岐にわたります。
重要なのは、「これさえあれば」と思えるようなものを一つか二つ持つこと。ただし、依存しやすい活動は避けるべきです。飲酒、喫煙、ギャンブル、SNSの過度な使用などは、心の不安定さを引き起こす可能性があるためです。
心の拠り所を元気な時に、準備しておくことも大切です。
スマートフォンや手帳に記録し、いつでもすぐにアクセスできるようにしておく、気持ちが沈みそうな時には、燃料切れになる前に避難するようにしましょう。
疲れ切ってからのリカバリーよりも、まだ大丈夫と感じるタイミングで心のエネルギーを補給することが効果的です。
日光と運動の効果
医学的には、日照時間とうつ病との間に密接な関係があります。日常的に日光を浴びることは、セロトニンという神経伝達物質を活性化させ、心のバランスを整える効果があります。
1日30分程度の日光浴は、ストレス軽減やうつ予防に効果的です。また、運動習慣を持つこともうつ病の発症リスクを低減します。ここで言う運動は、ラジオ体操のような簡単なもので十分です。
運動の強度や量ではなく、毎日または定期的に続けることが大切。
頑張りすぎる人ほど、早めのご褒美として心が安らぐ時間を作ることが重要です。
ストレスを感じ始めたら、すぐに自分を労わる時間を設けることで、少ないエネルギーで大きな効果を得ることができます。ストレスを溜め込まないためには、自己ケアを意識し、日々の生活に取り入れることが大切です。
6. マインドフルネスの実践
マインドフルネスは、ネガティブな気持ちが高まりそうな時に特に有効な方法です。
この認知療法は、現在自分が何をしているか、何を感じているかを自覚することで、心の苦しみを和らげることを目的としています。自分が置かれている状況を確認し、落ち込みそうな気分をコントロールするのです。
マインドフルネスの実践方法
マインドフルネスの方法は、非常にシンプルです。
例えば、「今、テレビを見ている」「今、ウキウキしている」といったように、現在の自分の行動や気持ちを言葉にしてみましょう。この言葉での実況は、自分自身をより客観的に観察する手助けとなります。
また、マインドフルネスを実践する際に重要なのは、何も変えようとしないこと。観察したことや感じたことに対して、批判や否定をする必要はありません。
ただ単に、“観察すること”に集中します。
この方法を通じて、感情の高まりを抑制し、心が少しでも楽になることを目指します。
習慣化による効果
このようなマインドフルネスの手法を日常生活に習慣化することができれば、日々の苦悩を回避し、より穏やかな心持ちを保つことが可能になるかもしれません。
マインドフルネスは、自分自身の感情や思考に対する新たな理解を深め、心の平穏を取り戻すための一つの方法として有効です。
今回紹介した、ゆうきゆうさんの書籍「図解 眠れなくなるほど面白いストレスの話」について、まだまだ紹介できていない部分が多いです。気になる方はぜひ本書を手にとってみてください!