アクション映画を華やかに彩る役として、殺し屋は欠かせません。007やミッション・インポッシブルといった定番映画では、必ずと言っていいほど、宿敵として殺し屋が出てきますよね。
この記事は、そんな“殺し屋”が主役の映画の中から、戦闘能力のみならず、独自のルールや人間性にも焦点をあてて、総合的に最強と思える殺し屋を3人紹介します。
1. まるでサイヤ人のように何度でも復活する、ジョン・ウィック!
ジョン・ウィックは、かつてその名を聞くだけで誰もがチビってしまうほど、裏社会にその名をとどろかせた伝説的の“殺し屋たちを殺す、殺し屋”です。彼一人と戦うためにマフィアは、一味全員の命をかけなければなりません。
一方で、ジョンは他の映画の殺し屋のような、ド派手な武器を使いません。彼の使用する主な武器は、2丁のハンドガンとナイフ。そこが、他のアクション映画の殺し屋と区別されるところです。
敵陣に侵入したはじめの頃は、静かに敵を排除するためにナイフを使い、本格的な銃撃戦が始まると、メイン武器のハンドガン、ヘッケラー&コッホ社のP30Lをお披露目。危ないときは、腰の後ろにつけている補助武器のグロック26を使います。
彼は格闘能力も優れているため、敵が近すぎる時には肉弾戦を繰り広げます。華やかではありませんが、より致命的な技となり得る、柔道やブラジリアン柔術を使い、相手が無防備状態になったところに、最後の一発を銃で終わらせる。
ジョン・ウィックのアクションを、銃を意味する英語のガンと、カンフーを合わせて“ガンフー”と呼ぶそうです。また、車の運転が趣味の彼は、抜群の運転技術で車を手足のように操ります。彼のカーアクションは、“カーフー”と呼ばれています。
まるで車と人間が一体となったかようなカーアクションは、すべてキアヌ・リーブス本人がやりこなしたそうです。しかも、楽しみながら。
だからと言って、彼が完璧というわけではありません。ぶっ飛ばされたり、建物から落ちたりしてケガもします。しかし、なぜ死にません。さっき致命傷負ったよね?と思ったら、また戦っています。不思議ですね。仙豆を持っているのでしょうか。
彼は無差別な殺人鬼に見えますが、他の殺し屋がそうであるように、彼にも自分だけのルールがあります。映画の中では言及されることはありませんが、それは様々なシーンから推測できます。
自分に危害を加えない人々は殺さない
ロシアマフィアが運営するクラブのドアマン、マフィアの隠し資産を管理していた女性たち、さらに自分を殺そうとした殺し屋仲間も殺しません。かつてプロの殺し屋だったので、ターゲットと邪魔者だけを攻撃します。
また、一般的に感情がないと思われがちな殺し屋と違って、結婚を考えるほど誰かと深い関係を築ける能力があり、危ない時に命がけで助けてくれる友達もいることから、実は熱い心を持った男だということがわかります。
現在、第4作目の公開を2022年に控えており、5作目も制作予定とのことです。キアヌの新たなアクションが待ち遠しいですね。
2. 美少女との出会いが人生に潤いを与える、哀れな殺し屋。LEON!
部屋の外から助けを求める美少女、マチルダ。そこから奇妙な共同生活が始まるのが、みなさんご存知「LEON」です。
独特なファッションセンスを持った彼は、自らを“クリーナー”と呼びます。寝る時も、決して横にならないほどの緊張感の中で生きる彼は、19歳の時に人を殺してアメリカに逃げてきた移民。人を殺して変わってしまった彼の人生は、彼を最高の暗殺者に生まれ変わらせました。そして、彼を孤独に…。
レオンは、常に銃を持って生活をしています。いつも周囲に目を配る様子から、彼の繊細な性格と、不安な心理状態がよくわかります。
そんな彼が仕事に出る時に着るのが、武器を格納したチョッキです。非常に印象的なこのチョッキの中には、ロックチェーンを切る切断機、拳銃、そして手榴弾などが入っています。
また、レオンの戦闘能力は、クライマックスで特殊武装した警察200人を、1人で相手にするところにとてもよく表れています。
彼は殺し屋が持たなければならない資質を、全て備えています。すばしっこくて、多数を相手にする方法を知って、人質を上手に使って、地形や周囲のものも利用し、変装もできます。そして、彼にも自分だけのルールを持っています。
女と子供は殺さない
この第1のルールは、実は良い心を持った彼の内面をよく表しています。
顔は打たない
2つ目のルールは、クライアントが依頼した対象を確認できなければならないためのルールです。このような細かい設定が、この映画をよりリアルに感じさせますね。
まるで彼の時間だけが、過去に止まってしまったように、レオンは古い映画を見るのが好きです。誰もが分かるようなことも知らないし、お酒ではなく牛乳だけをこだわって飲みます。
人とのコミュニケーションの方法はよく知らないけど、危険な状況に置かれた少女を助けてあげて、話をよく聞いてくれる、誰よりも心が温かい人です。そのせいか、すでに多くの人々を殺した殺人犯であるにも関らず、殺人に対する否定的な考えと後悔を見せることがあります。
復讐したいと言い出したマチルダに、「一生後悔したくないのなら、復讐なんて忘れろ。」と言いますが、この部分が他の殺し屋たちと最も違うところではないでしょうか。
レオンはいつも植物を持ち歩いて、この植物を自分と同じだと言って、とても大切にします。もしかしたら、自分がこの植物の世話をするように、自分をこんなに大事にしてくれる誰かを待っていたのではないでしょうか。
タイムループに閉じ込められたように生きていた殺し屋が、一人の少女と出会い、少しずつ変わって成長していく物語が「LEON」です。
3. 奇妙な髪型と、独特の武器。アントン・シガー!
初めての登場シーンから、警察に逮捕される男。酸素ボンベのようなものを持ち歩いて、警察を殺すことに躊躇ない、男の名はアントン・シガー。彼は麻薬取引から消えたお金を捜すために、あるギャング団が雇った“ヒットマン”です。
彼が過去にどんな人だったのか、いつから殺し屋になったのかは、詳しくは出てきません。武器として使うのは、奇妙な形をしたボンベ器具。映画の中の説明によれば、“牛と殺用のエアガン”だそうです。
この武器でアントンは、映画序盤から大きなインパクトを残します。その他にもサイレンサー付きの散弾銃なども使いますが、彼の最大の武器は、その経験から湧き出る緻密さです。
彼は急襲に先立って、自分の存在感を徹底的に消します。足音を殺すために靴を脱ぎ、電気を消して、もし相手が隠れていた場合に備えて、部屋から出るフリをして、また戻ってきます。そして、彼もまた他の殺し屋のように、ルールがあります。
映画の中で見られるのは、全部で二つ。
自分の目的のために人を殺す
アントンは自分の目的に必要な場合は、悩まず殺します。車を手に入れるためや、お金を引き出すためです。また、自分を殺そうとした人、彼をそそのかした人も殺します。すべての光を吸収する闇のように、目の前の命を一瞬で吸い込みます。
ヘアスタイル、顔、さらに頭までおかしい人ですが、彼の最も恐ろしいところは、相手の意見を気にせず、自分のルールに相手を押し込むところです。
理由がない時は、コイントス
アントンは、前にいる人を殺したいけれど、特別な理由が見つからないときは、勝手にコイントスをします。
この賭けに相手が参加するかどうかは、そもそも選べません。投げるところをみた相手は、どうしてコイントスしているのか、と戸惑っていると、いつの間にか殺されてしまいます。
ここまでくると、誰かに依頼されて働く殺し屋というより、そのときの気分で人を殺す、サイコパスに近いですね。恐ろしいサイコパスという言葉が、よく似合います。