この記事は、橘玲さんの書籍「読まなくてもいい本の読書案内」の紹介です。
読みたい本はたくさんあっても、その中から読まなくてもいい本はどれか選別できますか? これを読めば、現代において“読むべき本”と“読まなくてもいい本”の見極めができるようになります。
- なぜ読まなくてもいい本を知る必要があるのか?
- 読むべき本、読まなくてもいい本の見分け方とは何か?
知の巨人である橘さんの考えを、詳しくみていきましょう!
1. 読むべき本が多すぎる問題
まず、橘さんがなぜ “読まなくてもいい本の読書案内をする” といった、変なことを思いついたのでしょうか?
それは、「どんな本を読めばいいですか?」と意識の高い系の人たちによく聞かれるからだそうです。
本で自分を高めようとする人たちは、知識人の「この本を読みなさい!」という教えに従い、膨大な読むべき本リストを抱えているもの。しかし、このリストを1つ1つ読んでも、知性は高まりません。
なぜなら、知識人の薦める本の量が多すぎるからです。
例えば、古典的な必読書「マルクスの資本論」ひとつをとっても、岩波文庫で9巻もあります。
現在、世界では約1億3,000万冊の本が出版されています。
たとえ意識の高い人が、毎日1冊コツコツ読んだとしても、死ぬまでにせいぜい約26,000冊しか読めません。これは、世界の全書物の0.02%。人生は有限ですよね。
何を読めばいいか分からない人は、まず “読まなくてもいい本” を決めるべきだと、橘さんは言います。では、具体的にどのように読まない本を決めていくのでしょうか?
2. 読むべき本と、読まなくてもいい本の見分け方
どういう基準で読まなくてもいい本を決めていくのか。その線引きとなるのは、20世紀半ばから約半世紀で起きた、“知のビッグバン”と言われる大きな変化です。
これは、それ以前の学問の秩序を組み替えてしまうほどの大きなもので、何千年も続いた哲学などの学問が覆ってしまうほどの衝撃でした。
このビッグバンの原動力となっているが、
- 複雑系
- 進化論
- ゲーム理論
- 脳科学
- 功利主義
などの分野で、現代において爆発的な進歩を遂げています。
ということは、20世紀半ば以前をバッサリ切って、これらを押さえておけば、科学の最先端に効率的に到達することができるということです。
書物を科学のビッグバン以前と以後に分類し、ビッグバン以前の本は読書リストから、とりあえず除外。ビッグバン以前の書物を読んでもコスパが悪いと著者は言います。
例えば、数千ページにおよぶ古典的で難解な理論書の内容が、現代ではあたりまえ既知のこととなっていることがあります。
フロイトの難解な哲学書を読んでも、現在の科学の知見からは間違っていることが多いということが明らかになっています。古い価値観でできている知識を学んでも、相対的に参考になることはあれど、ほとんど無意味です。
むしろ、その考えを今更信じてしまうことによって、有害であることさえありえます。
仮にいま“ガラケー”の説明書を読めと言われても、意味なくない?となりますよね。哲学や文系の心理学は、これと同じような運命にあります。
それ自体を否定するものではありませんが、“最先端にたどり着きたい”という意識の高い人は、先にあげた分野の本を読むべきなのです。
まず私たちがやるべきことは、このような新しい分野の“本の大まかな地図”を手に入れること。進化論や脳科学は難解な印象ですが、優れた入門書が多くあるので、高校生にも理解できるそうです。
これらに触れておくことで、難解で高尚なことを言っているに思える本でも、知のビッグバン以前に書かれているなと、それ以後の知見を理解できていないものを見分けることができるようになります。
今回は、橘玲さん直伝の読むべき本の選定方法を紹介しました。もちろん、哲学や思想は大切ですし、趣味として読書を楽しめたい人にこの方法を勧めているわけではありません。
効率よく新しい最先端の知識を身に付けたい人に向けての内容であるということを、ご理解ください。詳しく知りたい方は本書、橘玲さんの「読まなくてもいい本の読書案内」をぜひ手にとってみてください!