『いいキャリアの育て方「5つの資」から考える人生戦略』要約(何のために働き、稼ぐのか?)

man taking selfie 日々を豊かに、丁寧に暮らすコツ

 

この記事では、青田努さんの書籍「図解 いいキャリアの育て方「5つの資」から考える人生戦略」を紹介します。

キャリアとは曖昧で、漠然としています。それでいて長期戦であり、先が見えにくいため考えることが億劫になりがちです。本書には、キャリアを考える時の補助ツールとして「5つの資」というフレームが用意されています。こちらの図は、本書からの引用です。

この図のように、キャリアは資格・資源・資質・資本・資産で捉えることができ、これらは年代に応じて適したフェーズがあると著者は言います。

 

また、この図のように、年代によって「5つの資」は移り変わっていきます。記載している年代は絶対的なものではなく、個人の環境や業種・職種によって差はあります。

本書はこれら5つの資について、スタートである資格からゴールである資産まで、順を追って説明しています。キャリアとの向き合い方について、停滞感や迷いを抱える時のヒントになるので、ぜひ最後までご覧ください!

 

1. 20代、挑戦権を得る

three men and laughing two women walking side by side

 

20代は他の年代と比較して、チャンスに溢れている旬の年代です。

1つ目の“資”である資格は、ライセンスや検定のような意味ではなく、自分がやりたいことへの挑戦権を得るために、必要なやりたいことに近づくための資格です。例えば、進学・就職・転職などがあります。

この資格を手に入れるためには、

  • 関心の幅
  • 自己理解
  • 企業理解・職種理解
  • 意思決定
  • 自己効力感

の5つが必要です。

 

まずは、自分の関心の幅を広げるべきです。やりたいことが明確にない人ほど、数打ち当たるのスタンスで経験の幅を広げることが有効になります。

関心の幅を広げたら、自分にフィットする企業や職種に出会うために自己理解と企業理解・職種理解を重ねていきます。自己理解は、デスクワークだけでは不十分で、働いている自分についての情報を得るのと、人とのつながりによって深みやすくなります。

企業理解・職種理解については、口コミサイトから情報を得たり、その企業サイトにある中途採用のページを見て、その職種やポジションの人が、入社後に期待されている実務の内容を確認することがおすすめです。

そして、その時点で最善と思える意思決定をします。人生は選択の連続。一度選択しただけでは終わりません。たまに足を止めて、その時に最善だと思える選択を重ねていくことで、満足のいくキャリアを築いていきます。

 

これらの一連のプロセスにおいては、自分の可能性を信じること、つまり自己効力感を高めることが、挑戦権を得るための活動をしていく上では大切になってきます。自己効力感とは、心理学者であるアルバート・バンデューラが提唱した概念で、「できそうだと思える」、「きっとうまくいく」など、自分の可能性を信じられることです。

自分や他人の成功体験や人の言葉から、自分にもできるのではないかとイメージできるようになりますし、体調を整えておくことで自信を保てます。

これらは新たな第一歩を生み出していく上で、ベースとなる要素ですので、覚えておきましょう!

 

2. アラサー以降、資源×資質で資本を得る

shallow focus photo of man in black dress shirt

 

アラサー以降は、資源×資質で資本を得る必要があります。そのポイントとして、まずは4つの資源を押さえておきましょう。

この先最終的な資産を増やしていくためには、強みである資本を身につけていく必要があります。

社会人になった時点で、すでに資本を身につけていることは非常に稀です。学校でいくら実務に近いことを学んだとしても、それが社会に出たその日から、そのまま強みとして適用するということはほぼありません。

そのため、多くの人は特筆すべき強みはないものの、その強みの素となるものはある状態から始まります。その資源は大きく以下の4つです。

  • 仕事に使える時間
  • 体力
  • 頭の働き
  • 新鮮な気持ち

 

これらは個人差がありますが、社会人になった時点で、多くの人が持っているものですよね。これら4つの資源の最大の特徴は、加齢とともに失われてゆく時限的なリソースであることです。

資源という時限的なリソースを使って仕事に取り組み、これらが失われていく、低下していく前に、強みとしての資本を身につけていく。そうすることで、キャリアの満足感・安心感が高まります。

 

3. 4つの資質

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40代、50代になってから、20代のような働き方をすることはできないように、資源は時限的なリソースであり貴重です。だからこそ、資源が豊富な限られた時期を有効活用するためには、自分自身の特性・資質を理解することが重要になります。

資質は上げていけばキリがないですが、キャリアに影響を与えやすいのは以下の4つです。

  • 好き / 嫌い:何が好きで何が嫌いか
  • 得手 / 不得手:何が得意で何が不得意か
  • 原動力:何によってエネルギーが引き出されるか
  • 勇気:物事に取り組んでいく上での強さ、成長に影響を与える強さ

 

資質を生かせない仕事や働き方や環境は、頑張っているのに成果が出なかったり、消耗してしまうことになります。自分の持ち味を生かしながら資本への変換効率を高めて、満足度の高いキャリアを歩みましょう。もう少し詳しく解説します。

 

好き / 嫌い

まず、カテゴリとしての好きと仕事内容としての好きは違います。例えば、自分は旅行が好きだけど、ツアーコンダクターという仕事や役割が好きとも限らないといったことは、当然あります。

この場合、旅行がコンテンツで、ツアーコンダクターが仕事内容です。できる限り自分の性に合った仕事を集中的に取り組んで、資本を身につけていきましょう。

好き / 嫌いがわからない人は、物事を数多く経験するようにすると良いです。経験の幅が関心の幅を広げるためです。

 

得手 / 不得手

得手 / 不得手は、得意か苦手かということです。得手は相対的な概念なので、自分の中での比較と他人との比較をすることで、理解が深まります。

自分の中で比較するときは、この作業・業務は自分の中では比較的得意になれる、もしくは逆に苦手だと感じると都度理解をしていきましょう。

他人との比較では、他の人は、この作業で苦労しているけれど自分はそこまで苦ではないなど、他の人と比べてできる・できないを理解していきます。

得意なことが分かれば、それを発揮していけば良いだけです。弱みは全て克服する必要はありません強みを生かす上での阻害要因となっているものを克服していくのがポイントです。

 

原動力

自分自身の原動力を認識し、それに合った仕事や働き方をすれば、より良い結果を出しやすくなり、満足度の高いキャリアになるでしょう。

著者は、原動力を起動・駆動・感動の3つにカテゴライズしています。起動にカテゴライズされるのは、

  • 好きなもの
  • 好奇心
  • ビジョン
  • 責任
  • 役割

このタイプの原動力は興味を引かれて、思わず飛びついたり自分を奮い立たせて一歩踏み出したりする時に役立ちます。

 

対して、駆動にライズされる原動力は、

  • チームワーク
  • 貢献
  • クエストクリア
  • 自立

これらは仕事や作業に取り組んでいる中で湧いてくるもので、やっているうちにもっとやりたくなるといった類の原動力です。

 

感動にカテゴライズされる原動力は、

  • 報酬
  • 成長実感
  • 競争
  • 勝負
  • クラフト

があります。感動は業務が一段落した際に、「やってよかった、もっとやりたい、もう一度やりたい」と感じることによって沸き起こる原動力です。

 

4. 6つの資本

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ここからは、アラサー以降に資源×資質で得る、6つの資本について解説します。

私たちは4つの資源、4つの資質の貴重なリソースと持ち味を生かして働いていくことにより、資産を築いていけます。ただし、そのためには、強みや武器が必要です。それが、本書における6つの資本、

  • マインドセット
  • 思考力・判断力
  • 専門性・技術
  • 実績・信頼・評価
  • 人脈
  • お金

です。それぞれ、掘り下げていきます。

 

マインドセット

1つ目は、マインドセットです。

マインドセットは心構え・物事の捉え方のことで、精神論のようで苦手に思う人もいるかもしれません。ただし、鍛えぬかれたマインドは、仕事で価値を発揮していく上での強みやエネルギーになります。

 

思考力・判断力

2つ目は思考力・判断力です。

著者は頭の良さには、

  • 頭の基本性能が良い「ハイスペック」
  • 頭の使い道がいい「賢人」
  • アウトプットがわかりやすい「ロジックマスター」
  • 頭の使い方がいい「クリエイター」

の4つのタイプがあると言います。これらのたくましい思考力や的確な判断力は、キャリアにおいて大きな強みとなります。

 

専門性・技術

3つ目は、専門性・技術です。

時代の変化や技術の進化によって、専門性や技術の価値ニーズは変わっていくもの。それでも資産を得ていく上では、専門性や技術は心強い武器になります。

過去の自分と比べてレベルアップできているか、自社内のみで通用するものになってはいないか、技術のバリエーション増えているか、など気になることは多いですが、これらは自分の頭の中だけで考えていると見えづらいので、定期的に書き出すことを著者はおすすめしています

 

実績・信頼・評価

続いて4つ目は、実績・信頼・評価です。

一緒に働く同僚やクライアントからしてみれば、一緒に仕事をしたことがないうちは、どれだけの力があるか働きやすい相手か、参考できる材料がありません。

そのため、実績・信頼・評価が必要となることがあります。ただし、実績は忘れやすいものなので、転職活動をしなかったとしても半年~1年に1回くらいは業務経歴書を更新していくということを著者はおすすめしています。

 

人脈

5つ目は、人脈です。

豊かな人脈があると何かを始めようとする時に、支援や助けが得られたり応援してもらえたりすることがあります。

人脈というとビジネス的でドライなイメージもするかもしれませんが、その本質は、応援自分の熱やエネルギーを分け与えることです。

応援が生まれる条件としては、

  • 嘘がないこと
  • 分かりやすいこと
  • 一生懸命であること

の3つになるので、押さえておきましょう。

 

お金

最後の6つ目は、お金です。

お金は自己投資や新たなチャレンジの軍資金として必要になることがあります。資本におけるお金は、手段としてのお金のことになります。

 

5. 40代以降、資産を作る。何のためにお金を稼ぐのか?

person sitting in a chair in front of a man

 

ここまで解説してきたことを駆使して築く“資産”とは、一体どういうものでしょうか?

本書では、資産を「働く理由となりうる価値」と定義しています。これは、なかなか面白い着眼点ですよね。

仕事をしていると、辛くなったり苦しくなったりすることがありますが、資産はそれでも前を向いて頑張れる理由となってくれるものです。

仮に、100歳まで生きられるとしたら、65歳まで働いても残り35年の人生の希望と安心感が大切です。著者は希望と絶望、安心と不安に影響をもたらすものは、人とのつながりと豊かさだと考えます。

 

  • 老後も健やかでいられるように健康管理をしていく
  • 金銭面で不安の思いをしないようにしておく
  • これまでのキャリアでつながっていた人たちと、疎遠にならないように実りのある関係性を築いておく

こんな風にキャリアを歩んでいけたら、あとで振り返った時に、満足度のいくキャリアになるのではないでしょうか。

若いうちは、特に成長や市場価値の向上を働く理由にあげる人も多いですが、それはあくまでも資産を得るための手段。

この前提をもと、著書は資産には以下の5つあると提唱しています。

  • 相互信頼とつながり
  • 金銭的な余裕
  • 人や社会への貢献実感
  • 自分なりに感じる価値
  • いい思い出

 

1つ目は、相互信頼とつながり。お互いに信頼していて繋がっていることに喜びを感じられる人がいること。

2つ目は、金銭的な余裕いわゆる豊かさのことで、豊かになるとは選択肢が増えることです。いろいろなものが買えたりサービスを利用できるようになったりお金が増えていくことで、お金で得られる選択肢が増えます。

3つ目の人や社会への貢献実感は、本能的な喜びに近いです。日頃は実験しづらい場合もあるので、自分は何を通じて誰にどう喜ばれたのか役に立ったのかについて書き出してみることがおすすめしています。

4つ目の自分なりに感じる価値は、究極的には自己満足できればいいということです。キャリアには自分なりに喜びを感じられることが明確であれば、それでいいという側面があります。他人の声ではなく、自分の声に耳を澄ませます。

最後の5つ目は、いい思い出。これも立派な資産です。もし何も成し遂げられなくとも後で振り返った時に、それでも良かったと言えるような日々で満たされた人生は、それだけで生きる・働くに値します。

自分にとって何が働く価値となるのか、この5つの資産を参考にしてぜひ考えてみてください。

 

今回紹介した、青田努さんの書籍「図解 いいキャリアの育て方「5つの資」から考える人生戦略」についてまだまだ紹介できていない部分が多いです。おすすめの本ですので、ぜひ読んでみてください!

 

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