『ハイパフォーマー思考』要約(分析から分かった、コンピテンシーの高い優秀な人の条件)

brown and white long coated small dog wearing eyeglasses on black laptop computer 時代を生き抜く考え方・哲学

継続的に高い成果を上げている人々であるハイパフォーマーたちの行動様式を知り、そしてそれをどう行動に結びつけていくか。

その秘訣を知り得るのが一部の人たちだけではもったいないと思い、筆を取ることにしたのです。

この記事では、増子裕介さん、増村岳史さんの書籍「ハイパフォーマー思考 高い成果を出し続ける人に共通する7つの思考・行動様式」を紹介します。本書は、

  • 仕事の効率や生産性を上げたい
  • ハイパフォーマーの思考や行動様式を知りたい
  • トッププレイヤーになりたい

という方におすすめです。本書は、自分自身の知的体力をアップデートし、自身のパフォーマンスを無理なくアップさせるための指南書です。内容は大手企業のトップ人材からトップアスリートまで、ハイパフォーマーと呼べる1,000人の分析と実績に基づいています。

継続的に高い成果を上げているハイパフォーマーな人たちの秘密を紐解き、それを誰でも真似することのできる形にまとめられています。日々のパフォーマンスを上げたいと常々思っている人、必見です!ぜひ最後までご覧ください。

 

1. ハイパフォーマーへの第一歩

person writing on brown wooden table near white ceramic mug

 

まずは、優秀さハイパフォーマーとは何なのかを本書から解説します。

仕事ができるなどの優秀の定義は、時代や置かれた状況によって大きく異なります。

例えば、戦国時代において、優秀な人物とはどんな人だったでしょうか?

それは、陣地を広げられる人でした。敵を一人でも多く倒して、自陣の陣地を広げることに貢献した人が、最も優秀な人物。では、徳川家康が全国を治めた徳川時代においてはどうでしょうか?

徳川時代における価値のある仕事は、政権を安定させて争い事が少なく、良い治安の世の中が続くことに貢献することです。そうだとすると、徳川時代の最も優秀な人物とは、徳川幕府の繁栄が続くための仕組みづくりや運用をした人と言えます。

 

現代のハイパフォーマー

このように、時代が変われば価値観は変わります。仕事ができることや優秀であるという、高いパフォーマンスを発揮する“ハイパフォーマー”の定義も変わっていきます。では、21世紀に入ってすでに20年以上が過ぎている今、これからの時代のハイパフォーマーの定義とは、どんな人でしょうか?

それは、正解がない問題を様々な角度から掘り下げ、思考し、行動する力がある人です。これを本書では、知的体力と呼んでいます。

人生100年時代と言われる昨今、多くのビジネスパーソンは80歳くらいまで働く可能性があります。すでに終身雇用という日本独自のシステムは終わりを迎えつつあり、その中で1社にとどまり、漠然と定年まで働き続けることは難しいです。

また、ここ数年のAIの進化は目を見張るものがあり、人間にしかできない仕事が減ってきているのも事実。いずれ人にしかできない仕事以外は、ほぼ無価値になっていく。だからこそ私たちにしかできないことをやっていく必要があります。そこで必要になるのが、知的体力です。

体力は歳とともに衰えますが、知的体力は年齢に関係なく進化し、成長させることができます。知的体力を身につけることこそ、ハイパフォーマーへの第一歩です。

 

2. 知的体力を構成する要素

man facing MacBook Pro

 

知的体力を進化成長させるための土台となるのは、思考の行動様式です。ここからは、思考の行動様式について、OSとアプリケーションを例に解説していきます。

OSとアプリケーション

OSとは、システム全体を管理する基本ソフトウェアのこと。コンピューターは、OSの上で個々のアプリケーションが動いています。私たちも、仕事やライフスタイルに合わせて様々なアプリケーションを選択をしますよね。

例えば、メールやカレンダーのアプリケーションはユーザーであれば、ほとんどの人がインストールしていると思いますが、実は知的体力を構成する要素には、OSとアプリケーションにあたるものがあります。

まず、アプリケーションに当たるのは、知識やスキルです。知識やスキルは、業種によって違います。例えば、営業のスキルであれば、プレゼンテーションスキルや交渉のためのスキル、商談をまとめて受注するためのスキルなどです。生産部門のスキルであれば、在庫管理のスキルや納品管理のスキル運用、管理のスキルなど、様々な職種ごとに様々な業種のスキルがあります。

また、これらのスキルは時代や会社の体制戦略によっても変わります。実際、パソコンやスマートフォンのアプリは、その時々の流行りがありますよね。それと同じように、求められるスキルも変わっていき時間とともに陳腐化してしまいます。

 

一方で、OSにあたるものが、思考・行動様式です。パソコンやスマートフォンのOSは、基本構成は変わらずに、定期的にアップデートされ、対応するようにアプリケーションがアップデートされます。

人の思考・行動様式も同様です。本人の思考・行動様式がなければ、身につけたスキルを上手く活かすことができません。さらに、スキルも思考・行動様式があるからこそ、その中でもアップデートされていくものです。

思考・行動様式こそが、知的体力をアップデートするための土台となるのです。スキルの多くは可視化でき、学べば手に入りますが、思考・行動様式は目に見えなく、簡単に手に入るものではありません。しかし、OSにあたるものなので、なかなか陳腐化することもありません(悪い意味でも)。

 

3. ハイパフォーマーが育つ条件

two person sitting while holding clear glass mason mugs

 

ハイパフォーマーが育つ条件は、大きく2つあります。

  • 若いうちにハイパフォーマーに出会うこと
  • 真似るべきポイントを言語化すること

です。

若いうちにハイパフォーマーに出会うこと

若いうちにハイパフォーマーに出会う必要がある理由は、なるべく白紙に近い状態で、正しいOSをインストールする方が効率的だからです。

誤ったOSがインストールされた人は自分のアイデアに固執したり、外部の声にすぐ反発したりと、日々の問題を複雑にしている原因は、その人が持ってる誤ったOSにあります。

しかし、誤ったOSの方がその人にとっては快適であるため、それをアンインストールするのは難しいです。ただし、本人自身が腹落ちして心を入れ替えれば、40歳からでも50歳からでも、正しいOSを習得することは可能です。

 

真似るべきポイントを言語化する

著者は、せっかくハイパフォーマーと出会っているのに、真似るべきポイントを理解していない残念なパターンが見当たると言います。

例えば、トップクリエイターの時間管理のルーズさや服装に関する無頓着ぶりなど、そこじゃないという部分を真似するケースもあります。一方で、自分が出会った尊敬すべき人物を特定し、その人の何が素晴らしいのか記憶しているハイポフォーマーもいます。

人の脳には、ミラーニューロンと呼ばれる細胞があります。他者の振る舞いを観察することで、自分もそれを追体験しているように感じ、真似しようとするのです。別名「モノマネ細胞」とも呼ばれており、ある人物の行動を観察していると、観察者の脳もその相手と同じように活性化されるそうです。

ミラーニューロンの特質を活用すれば、ロールモデルとなる人物と一緒の時間を過ごして共感することで、理想に近づけることになります。さらに最近の研究によれば、視覚情報だけでなく、文字情報においても同じ効果が期待できることが明らかになりました。

つまり、ハイパフォーマーの思考・行動様式が明記されたインタビューを読むだけでも、同レベルの成長が期待できるのです。

 

4. ハイパフォーマーに学ぶ7つの思考・行動様式

Surface Pro 9

 

ハイパフォーマー分析という本書のメソッドを使うと、短期間で大きな効果を生みます。その理由は非常にシンプル。

会社組織には3つの層があり、

  • 2割は、言われなくてもできる層
  • 6割は、言われればできる層
  • 残りの2割は、言われてもできない層

です。著者は、上位2割が継続的に成果を上げている要因を抽出し、それを6割の中間層が実践するための仕組みを整えるという大きく2つの方法を行いました。これにより、短期間で大きな成果を生むことが可能になったそうです。

しかし、会社や集団によって、成果の定義は様々なので、そこから導き出される思考を行動様式も異なるのではないか?と思いますとね。

その通りです。ハイパフォーマー分析は、30社以上1000人弱に実践されてきましたが、それを振り返ってみると、驚くような意外な要素が抽出されることも多々あったそうです。

これらの意外な要素こそが、個々の企業を特徴づけるカルチャーや社風だと言えます。一方で、会社や国の枠を超えて、多くの会社や集団に共通する以下の7つの思考・行動様式が分かったそうです。

 

  1. 何とかなると思ってやってみる
  2. 柔軟に方向転換する
  3. 自分とは異なる価値観や文化を認め受け入れる
  4. 仕事をプレイする
  5. 常に学び続ける
  6. 人との縁を大切にする
  7. 物事を斜めから見る

これらの思考・行動様式が勝率の高い思考行動のベストと呼べるものになります。では、それぞれの詳細を見ていきましょう。

 

何とかなると思ってやってみる

これが最初の項目になっているのには理由があります。なぜなら、あらゆるサクセスストーリーは例外なく、まずやってみることからスタートしているという絶対的な心理が存在するから。

アメリカメジャーリーグで2021年シーズンのMVPを獲得するなど大活躍を続けている大谷翔平選手の二刀流も、高校時代に自分は必ずできると信じたことが全ての始まりでした。大谷選手はこんな言葉を残しています。

「どうしてできないんだろうと考えることはあっても、これは無理、絶対にできないといった限界を感じたことは一度もありません。今は難しくてもそのうち乗り越えられる。もっともっと良くなるという確信がありましたし、そのための練習は楽しかったです。」

なんとかなるだろうという言葉は、放棄でありません。常に自分自身の可能性を信じ、チャレンジ精神を持っているからこそ、なんとかなるだろうと考えることです。また、ビジネスパーソンの様々なハイパフォーマーたちにインタビューした結果、彼らに共通ことがあります。

それは、自分の好きなこと得意なことを、仕事にしていること。“好きこそものの上手なれ”の言葉の通り、ハイパフォーマーは自身の好きなことを掘り下げて仕事につなげています。

 

柔軟に方向転換する

これは1つ目の、「なんとかなると思ってやってみる」とセットで考えたい項目です。

なぜなら、まずやってみてこれはダメだと気づいたら、意固地にならずに方向を修正するという時間軸を伴ったつながりになるからです。

勘違いされやすいですが、柔軟に方向転換するということと、諦めが早いということは違います。まずは自身でやると決めたことに対して、創意工夫をして実行するために必要なスキルを身につける。そして、自身が納得するまで徹底的に実行してみて、不可能と思った時に方向転換をする。

行き詰まった時に自分なりの勝算が描けるか、やっていて楽しいか、と自問してみましょう。

 

自分とは異なる価値観や文化を認め受け入れる

柔軟に方向転換することは、自分が勝負すべきフィールドを選ぶことに対して、この項目は選んだフィールドでいかにアウトプットを生み出すかの話。前者は必然的に自分の意思が問われますが、後者は第三者の視点や意見を取り入れることが重要になります。

人はもともと、気の合う人々と一緒に事を運びたがります。そのため、自分のお気に入りの部下を自身のチームやプロジェクトに引き入れがちです。

しかし、ここはあえてよそ者を取り込んでみましょう。異なる意見を尊重しベストと思ったアイデアさえも、再検証を伴うことで思いもよらない価格が起こることがあります。

 

仕事をプレイする

働き方にはレイバー、ワーカー、プレイヤーの3つがあるそうです。強制された労働をする人はレイバー、組織に属して決められた仕事をする人はワーカー、自ら楽しんで行う人がプレイヤーです。ハイパフォーマーは、例外なく仕事を楽しみながら遂行する人、つまりプレイヤーです。

それぞれの違いは自らの仕事に意味を見出して、自分なりの価値判断をしているかどうかです。現在手がけている仕事に疑問を抱いている人は、一度意味を見出してみてください。

もし見出せないのであれば、方向転換をしてみてはどうでしょうか。

 

常に学び続ける

真面目な人ほど、学ぶことからスタートしがちです。そのため。狭いところにはまり込んでしまうケースがちらほらあります。

ハイパフォーマー分析から導き出された正しい手順は、まずやってみてダメだと思ったら柔軟に方向を修正し、自分がプレイできるフィールドを決めるまで進んでから、何を学ぶべきかを考えるという流れです。

 

人との縁を大切にする

今も昔もどれほど才能に恵まれた人でも、自分一人の力だけでできることは限られています。

例えば、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロは、メディチ家に代表されるパトロンに支えられていました。モーツァルトやワーグナーといった作曲家かも、宮廷のバックアップがあったからこその活躍です。

逆に、ゴッホは理解者が弟のテオだけだったために、生きている間に商業的な成功を収めることができませんでした(ゴッホの人生は実は豊かであったという論考もあります)。

このように、身近なビジネスパーソンを対象としたハイパフォーマーへのインタビューでも、必ずと言っていいほど「あのタイミングで、あの人と出会ったから」という話が出てくるそうです。

世に打って出るための武器を身につけたら、あとはできるだけ多くの人に出会いプレゼンテーションをするべきです。私たちは日々様々な人々と出会いますが、全てをメリットデメリットのみで判断してはいけません。

そうではなく、その瞬間の出会いを大切にすることの積み重ねによって、予想だにしない好結果へと結びつけていけるのです。

 

物事を斜めから見る

これは、対象物の良い部分を徹底的に理解した上で、あえて批評的な視点で捉え直してみるということ。

ここだと思って選んだ場所でプレイし続けていると、自分自身やフィールドそのものを客観視できなくなってしまうというリスクが生じます。毎日や四六時中である必要はないので、今いる場所や自分自身はこのままでいいのかという視点で、振り返りを行ってみるのがおすすめです。

なお、この項目が最後なことには理由があります。それは、7つの中でこれだけがオプショナルな要素だからです。つまり、特定の組織や会社において、全員が常日頃から持っている必要はないです。一部のメンバーが特定のフェーズで発揮すべき思考行動だということでもあります。

以上の7つの思考行動様式を意識して、ハイパフォーマーへの道を一歩ずつ進んでいきましょう!

 

今回紹介した、増子裕介さん、増村岳史さんの書籍「ハイパフォーマー思考 高い成果を出し続ける人に共通する7つの思考・行動様式」についてまだまだ紹介できていない部分が多いです。おすすめの本ですのでぜひ読んでみてください!

 

two men talking

『頭のいい人の対人関係』要約【交渉上手な人のスキルを学び、ビジネス・営業に強くなる方法】

man in black formal suit jacket and pants carrying black bag while walking on pedestrian lane during daytime

職場で差をつける!『99%の人がしていないたった1%の仕事のコツ』要約(信頼される方法)

people gathered outside buildings and vehicles

日本の未来を担う『2025年日本経済再生戦略』要約(富山和彦と成毛眞が提言する解決策)

man sitting on concrete brick with opened laptop on his lap

5分で学ぶ『何のために働くのか』要約(やりがいのある仕事・天職の見つけ方、珠玉の名言)

アクセスランキング