生活はどこまでシェアできる?『シェアライフ 新しい社会の新しい生き方』要約

brown wooden chair near white wooden door 日々を豊かに、丁寧に暮らすコツ

 

シェアリングエコノミー、活用していますか?

この記事では、石山アンジュさんの書籍「シェアライフ 新しい社会の新しい生き方」を取り上げます。

最近ではカーシェアをはじめ、シェアという言葉を聞く機会も増えましたよね。

このシェアこそが、今後の時代を幸せに生きていくための欠かせないキーワードだと著者は言います。

本書は、シェアに関してビジネストレンドを教えてくれるだけでなく、シェアという思想そのものを教えてくれます。

それではさっそく、中身を見ていきましょう!

 

1. シェア文化の台頭とその背景

green and white braille typewriter

 

まずは、なぜ今シェアが必要なのか、3つの背景を解説します。

ロールモデルの消失

現代社会は過去に例を見ないほどの速さで変化しており、これまでの生活の指針となっていた人生すごろくのようなロールモデルは失われつつあります。

戦後の高度経済成長期には、大量生産と大量消費が繰り返され、経済は急速に成長。個人の生活においても、安定した職に就き、マイホームやマイカーを持つことが幸せの象徴とされてきました。

しかし、現代日本においては、終身雇用の崩壊や年金受給の不透明性など、かつての安定した人生モデルが崩れてきています。

また、インターネットやグローバリゼーションの進展により、社会は複雑化し、どんどん私たちの生活に直接的な影響を与えてきています。

 

個人中心の時代へのシフト

世界は大きく変化しており、社会全体で組織から個人へのパワーシフトが起きています。

従来の社会では、国や企業などの組織が物事を仲介し、力を持っていましたが、インターネットの普及により、個人と個人が直接繋がることが可能になりました。組織を必要としない、個人中心の社会が形成されつつあります。

物の価値をみんなで決めることができ、権力を監視することができるなど、従来の社会システムが揺らぐ中でも、信頼でつながったネットワークは社会を支える新しい形の豊かさをもたらしています。

今後は経済活動だけでなく、これまで国や行政に頼っていた公共サービス社会保障などの社会インフラも、シェアによって自分たちの手で作られるようになることが期待できると著者は言います。

 

豊かさのパラダイムシフト

個人が主役となる新しい時代においては、豊かさの定義も変わりつつあります。

従来は物質的な所有物に価値を見出していましたが、現代では内面的、精神的な豊かさや、人間関係の充実を重視している人が多いです。

お金や社会的地位ではなく、信頼や人間関係が豊かさの新しい基準となっており、人々はより精神的な満足を求めるようになっています。

シェア文化が人々の生活に根付き、新しい形の豊かさを生み出しているのです。

 

2. 新しい価値観

a group of people grabbing slices of pizza

 

シェアの起源

ここからは「シェア」がどのような形で私たちの文化に根付いているのか、その本質は何なのかについて解説します。

まず初めに、「シェア」とは何かを考えるとき、私たちの文化に古くから存在していた「長屋文化」を振り返りましょう。

江戸時代の日本では、人々は長屋に住み、お互いの空間を共有し、生活用品を貸し借りするという形で、シェアの文化を実践していました。

この文化は、個々人の強固な信頼関係とつながりの上に成り立っており、お互いを助け合うことで共同体全体が成立。

これは、日本に根付く東洋思想の影響が大きかったのだろうと、著者は言います。

 

すべてのものに神が宿り共に生きているという八百万の精神のもと、自然との共生の中に自らの存在を見出し、他者との関係性を大切にする。

個人という概念は存在せず、自分は全体の中の一部であり、一部である自分が全体を構成すると考えていたのです。

 

見えない価値の発見

次に、シェアによって新しい価値が生まれるメカニズムについて掘り下げていきます。

これまでに価値が見出されなかったものや、社会の隅々に眠っていた価値あるものが、シェアを通じて新たな価値として蘇ります。

例えば、長らく放置されていた空き家や廃校が、民泊やゲストハウスとして再利用されるケースが挙げられます。

これらをシェアプラットフォームを介して、物やサービスを求める人々を繋げることで、新しい価値を生み出すことができます。

また、プラットフォームを通じて、個人が自身のスキルや経験を提供することが可能になり、これまで自分では気づかなかった価値を引き出すこともできます。

 

シェアの本質とつながり資本

最後に、シェアすることで生まれる最も重要な価値である「つながり」に焦点を当てます。

著者は、この「つながり」が金銭や社会的地位と同様に、個人の資産としての価値を持つ時代が訪れていると指摘。

これを「つながり資本」と呼び、先行き不透明な時代において、確かな安心をもたらす重要な資本であると論じています。

 

他者との信頼関係が築かれ、助け合いの文化が根付くことで、私たちは未来に対してより強い安心感を持つことができるようになります。

著者は、この「つながり資本」こそが、これからの時代において新たな豊かさの指標となると主張しています。

古くからのシェア文化の背景を理解し、見えない価値を発見し、人とのつながりを大切にすることで、私たちはより豊かな未来を築いていくことができるのです。

 

3. 新しい生き方の探求

white and blue van on brown dirt road during daytime

 

最後に、現代社会において注目される「新しい生き方」について、本書から重要な3つのテーマを紐解きます。

シェアによる働き方の変革

シェアリングエコノミーがもたらす最大の変革の一つは、働き方に関するものです。時間や場所に縛られないワークスタイルが可能になり、収入を得る方法も多様化しています。

アメリカでは1000万人、中国では6000万人以上の人々がシェアリングエコノミーを通じて収入を得ていると言われています。

これにより、「働く=会社に勤める」という従来の認識が変わり、より自由な働き方が実現可能になっています。

 

そして、この働き方では高い専門スキルがなくても、持っているものや経験、知識をシェアすることで収入を得ることができるようになります。

例えば、出張が多い人のペットのお世話を引き受けたり、自分のなお宿泊場所として貸し出したり、メルカリで物を販売するなど生活の中で稼ぐような働き方も可能になっています。

 

シェアで住み方が変わる

住まいのあり方も、シェアリングエコノミーの影響を受けています。

家は私たちの生活の基盤でありながら、同時に私たちの自由を制約する要素でもあります。

例えば、何十年もローンが残った一軒家を放り出して、明日から海外に住みたいという決断ができる人はほぼいないでしょう。家を所有した時点で、活動拠点がある程度縛られ身軽さを失ってしまいます。

そこでシェアを取り入れることで、私たちはより自由に、そして多様な居場所を持つことができるようになります。

自分の家を他人とシェアすることで、様々な場所に「ただいま」と言える場所を持つことができるようになり、これが豊かな生き方の一つとなります。

 

シェアで旅のスタイルが変わる

旅のスタイルにも、大きな変化があります。

ホテルではなく、AirBnBを利用して民泊をすることで、旅先で現地の人とのつながりを持ちやすくなります。

例えば、ブラジルに行った時はリオに住んでいるカップルの自宅に泊めてもらい、ニューヨークでは大きな豪邸を8人の友人と一緒に1週間借りるといった具合です。

食事もガイドブックに掲載されたレストランに行くのではなく、ミールシェアという現地の人の自宅にお邪魔し、手料理をごちそうになることができるサービスを利用していたそうです。

 

移動手段もシェアサイクルやライドシェアを利用することで、より柔軟に、そして経済的に旅をすることができます。

これらにより、旅の概念が変わり、世界中に友人ができ、何かあったときに助けを求められる安心感を持つことができます。新しい生き方、シェアライフを選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。

シェアライフを実行することで、私たちはより自由で、より豊かな生活を手に入れることができるのです。

 

今回紹介した、石山アンジュさんの書籍「シェアライフ 新しい社会の新しい生き方」について、より詳しく知りたい方は、ぜひ手にとってみてください!

 

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