日々、質の高い睡眠が摂れていますか?
この記事では、メンタリストDaiGoさんの書籍「賢者の睡眠」を紹介します。本書は、
- 夜なかなか寝付けない
- 毎晩のように夢を見る
- 途中で目が覚めてしまう
といった方におすすめです。本書では、科学的に眠りの質を向上させる方法について解説されています。睡眠に関しては個人差も大きいため、すべてのアプローチが必ずしも万人に効果があるとは言い切れません。
しかし、今の自分の睡眠に満足できていないのであれば、この本の内容を試してみる価値は大いにあるはずです。自分自身の睡眠にしっかり向き合うことができるので、ぜひ最後まで読んでみてください!
1. 私たちが眠る理由
まずは、私たちが眠る理由について、本書から2つのポイントを解説していきます。
人はどれだけ眠らずにいられるか
私たちはなぜ眠るのでしょうか?実はこの問いには学術的に明確な答えは出ていません。睡眠は、人生の3分の1は寝ていると言われるほど重要な行動ですが、謎の部分がまだとても多いのです。
そもそもすべての生物において、睡眠中ほど無防備な状態はありません。寝ている間は、外敵から襲われるかもしれないのでハイリスクな状態。しかし、それでも進化の過程で淘汰されず、今も必要とされています。一体なぜでしょうか?
当たり前ですが、私たちが眠らずに生き続けることはできません。人はどれだけ眠らずにいられるのかについての実験やチャレンジは、過去に様々行われています。
有名のものとしては、1964年に専門家立会いのもとで行われた断眠実験があります。この実験ではアメリカの男子高校生ランディー・ガードが264時間12分、つまり約11日間という断眠を記録しました。
ただし、この実験では断眠を続けるうちに、目に見えて体に異変が生じています。日を追うごとに理解力や分析力運動能力などが低下し、次第に常軌を失って目の焦点が定まらなくなり、ろれつが回らず、記憶が欠落して幻覚や妄想を見るなど、かなり危険な状態に陥りました。
断眠後、その男子高校生は約15時間眠り続けたそうです。そして、その結果どうなったかというと、目が覚めた後はこれといった後遺症もなく、次第に普通の生活に復帰できました。
人は眠らないと、心身の健康はもちろん、生命にまで危険が及ぶことは明らかです。それ以上に、約11日間もの難民による深刻な体の変化が、わずか15時間ほどの睡眠で回復したことも衝撃です。
危険な実験ではありますが、人間の生命維持にとってセミはすごく重要だということが実証されたとも言えます。
睡眠不足の弊害
睡眠不足に陥ると、脳や体、人間関係にまでマイナスに作用することが分かっています。
脳へのマイナス面としては、頭がぼーっとして集中力がなくなる、凡ミスをしてしまう、なんだかやる気が出ないなどの経験は誰もが持っているはずです。こうした事態を招く要因は睡眠不足によって、脳のリカバリーができていないからです。
脳に疲労が溜まることによって、脳機能が低下してします。人の生命活動のすべてを司る脳は、常にフル稼働状態ですそのため、身体機関の中でも突出して大量のエネルギーを消費しています。
そして、働き詰めの脳にとって、自分自身を休めてリカバリーするためのタイミングこそが、睡眠中です。脳疲労のリカバリーのためにも、やはり質の高い良質な睡眠確保に力を注ぐことが、大きなポイントとなります。
体へのマイナス面としては、睡眠に細胞のメンテナンスというとても重要な役割があり、疲労したり破損したりした細胞が、眠っている間に修復再生されます。その際に鍵となるのが、脳の下垂体から分泌される成長ホルモンというタンパク質です。
成長ホルモンには、皮膚や筋肉、骨の形成、傷ついた筋肉や内臓などの体組織の修復、さらに細胞の新陳代謝の促進といった働きがあります。ここで重要なことは、成長ホルモンの分泌は夜間の睡眠中に集中しているということ。
それも寝入ってから23時間後のタイミングで分泌されることが分かっています。寝る子は育つという言葉には、しっかりとした科学的根拠があるのです。
逆に言えば、しっかり寝ないと成長ホルモンが適切に分泌されないということ。成長ホルモンが適切に分泌されなければ、体はどんどん冷えし老化していってしまいます。
さらに、成長ホルモンはアンチエイジングにも効果があるため、睡眠不足になると肌荒れを引き起こします。また、免疫力低下によって風や感染症にかかりやすくなったり、がんのリスクも高まるため、睡眠と免疫力には非常に深い関係があります。
人間関係のマイナス面については、人はしっかり寝ていないと不誠実になることが、バージニア工科大学の研究で報告されています。睡眠不足になるほど、意志力が弱まり、他人を騙したりごまかしたり、面倒なことを後回しにするといった行動に走る傾向が強くなるというものです。
さらに、シンガポールマネジメント大学の調査では、睡眠不足の社員はそうでない社員よりも、仕事中にネットサーフィンする確率が高いことも分かっています。要するに、ちゃんと寝ていないとやるべきことがあっても周囲の誘惑に勝てず、目の前の欲求に流されがちであるということです。
2. 遺伝子による睡眠タイプ
ここからは、遺伝子による睡眠タイプについて、2つのポイントを解説します。
サーカディアンリズムについて
サーカディアンリズムを知っていますか? 朝になって日が昇ると目が覚めて、日が落ちて夜になると眠くなる。私たちの生活サイクルを制御しているのが、体内時計です。この体内時計が刻む約24時間周期のリズムを、サーカディアンリズムと言います。
サーカディアンリズムの働きによって、人は夜になると自然と眠くなり、朝になると目が覚めます。また、サーカディアンリズムは地球の自転にシンクロしています。その周期は厳密には24時間ではありません。地球の自転による1日の長さより少しだけ長いということが分かっています。
そして、サーカディアリズムの周期が24時間より少し長いということは、放っておくと地球の時点から少しずつ後ろにずれてしまいます。
1日2日なら誤差は少なくて済みますが、長期にわたって誤差が積み重なると何時間もの大きなズレが生じます。すると、朝になったのに体内環境は夜の休息モードになってしまったり、夜になったのに活動モードになってしまうということが起きます。
いわゆる、昼夜逆転の状態です。こうしたズレの発生を抑制・解消し、体内時計を地球の自転周期と常にシンクロさせるためには、サーカルやリズムを毎日リセットすることが必要です。
サーカディアンリズムをリセットするために毎朝のルーティーンにしたいのが、朝起きたらカーテンを開けるということ。サーカディアンリズムのリセットに大きな影響を与える要素の一つが「光」、特に朝の太陽の光です。
朝になって太陽の光を浴びることで、後ろにずれた体内時計の針が巻き戻され、サーカディアンリズムのリセットがされます。朝目が覚めたらすぐに寝室やその他の部屋のカーテンを開けて、たっぷり朝の光を浴びましょう。
一般的には一日30分ほど日の光を浴びると、体内時計が調整されやすくなると言われています。
クロノタイプについて
最近は生活リズムを夜型から朝型に変えることが推奨される傾向にありますが、著者はこうした風潮に対して懐疑的です。なぜなら、朝型と夜型という生活サイクルは、よほど特殊なケースでない限り遺伝子によって決まっているからです。
適した生活サイクルには、個人差があるということです。夜型人間の人が、無理して朝型にする必要はありません。というよりも遺伝子で決められている以上、努力して変えられるものではないということです。
また、朝型夜型という生活サイクルの差は、さらに詳細に分類することで注目されている、最新の体内時計理論が、アメリカの睡眠専門員マイケル・ブレース博士が提唱するクロノタイプと呼ばれる考え方です。
クロノタイプは睡眠をはじめとする生活リズムから性格の違いによって、クマ型、ライオン型、狼型、イルカ型の4種類に分類されます。それぞれの簡単な特徴は次のとおりです。
- クマ型:昼型で、全人口の50%程度。7時頃に起きて、朝から昼過ぎにかけてパフォーマンスが最大化します。必要な睡眠時間は7時間以上、理想の就寝時間は23時頃です。
- ライオン型:朝型で、全人口の15%~20%程度です。日の出とともに目が覚め、昼頃に最大のパフォーマンスが発揮できます。必要な睡眠時間は7時間程度。理想の就寝時間は22時頃です。
- 狼型:夜型で全人口の15%~20%がこのタイプです。日が沈み始める時間帯にパフォーマンスが最大化します。必要な睡眠時間は7時間半程度。理想の就寝時刻は24時頃です。
- イルカ型:不眠型で、全人口の10%程度です。20時~21時頃にパフォーマンスが最大化し、必要な睡眠時間は6時間程度。理想の就寝時間は23時半頃です。
4種類のクロノタイプは、本来自分自身の性格パフォーマンスが上がる時間帯、睡眠の傾向の3つから自己判断によって分類できます。
よく分からない、判断しきれないという方のために、今回は簡易型クロノタイプ診断を紹介するので、自分のタイプを見つけてみてください。
- 睡眠時間は7時間以上必要ですか?必要であれば次へ必要なければイルカ型
- 朝型ですが夜型ですか?朝型であれば次へ夜型であれば狼型
- お昼寝はしたい派ですか?したければクマ型いらなければライオン型
以上が簡単な振り分け方です。睡眠は自分の体内時計に適した生活スタイルで暮らすことが大事です。ぜひ自分に合ったスタイルを見つけてみてください。
3. 5つの賢眠アプローチ
最後に5つの賢眠アプローチについて解説していきます。私たちの睡眠の質を上げる鍵は、5つの賢眠アプローチにあります。
睡眠時間を見直す
睡眠の質を上げるためには、睡眠時間だけでなく何時に寝るのかという睡眠の時間帯も大きく関係してきます。具体的には、私たちにとっての理想の眠る時間は22時~23時。
これは大多数派のクマ型とライオン型の理想の睡眠時間帯とほぼ一致しています。睡眠の質を上げるために重要なのは、生体リズムに逆らわないことと、ホルモンの働きを最大化すること。そのためにも睡眠時間だけでなく、睡眠時間帯にも気を配りましょう。
睡眠習慣を見直す
睡眠の質を上げるために心がけるべきことは、寝室やベッドなどを睡眠以外の目的で使わないことです。これは2011年にアメリカのアリゾナ大学が行った睡眠に関する研究論文の調査で、数ある快眠法の中のトップと認められた刺激制限療法に指摘されている考え方です。簡単に紹介すると、
- 寝室にパソコンを持ち込んで仕事をしない
- 寝室で着替えない
- えヨガやストレッチなど体にいいことであっても寝室ではやらない
- ベッドで本を読んだり、テレビを見たりしない
- スマホをいじったり電話で話したりしない
- お菓子を食べたりお酒を飲んだりしない
つまり、寝室は寝るためだけに使うことが大事です。その理由には脳の勘違いにあります。寝室やベッドで寝る以外のことをする習慣がつくと、私たちの脳は寝室やベッドを寝る場所ではなく、起きている場所だと勘違いしてしまうからです。
睡眠環境を整える
睡眠環境で最初に着目したいのは、寝室の明るさです。睡眠にはメラトニンというホルモンが深く関わっており、メラトニンは夜9時頃から分泌され始めます。その後も数時間分泌量が増え続け、夜になると自然に眠気を感じてくるのはこのためです。
しかし、メラトニンの分泌は光という要因に左右され、暗いと分泌は促進し、明るいと抑制されてしまいます。朝日を浴びるとスッキリ目が覚めるのは、太陽の光によって睡眠を促していたメラトニンの分泌が抑制され、眠気が薄れていくからです。そのため、寝室の明かりはできるだけ暗くした方が、よりぐっすりと眠ることができます。
食習慣を見直す
私たちは食べることでエネルギーを補給し、生命を維持します。当然、睡眠の質にも職は大いに関係しているので、日々の食に気を配れば、眠りは劇的に変化します。そこで、今回は糖質と睡眠の関係について掘り下げます。
ぐっすり眠るためには、寝る前に糖質を摂るべきです。そんなことをしたら太るし、体に悪いんじゃないかそう思う方も多いかもしれませんが、食後に血糖値が上昇する高GI食品を食べると、質の高い睡眠を得られるという研究結果があります。
また、金沢医科大学の研究グループは、GI値が異なるお米・パン・麺類という3種類の食品摂取量と睡眠の質との関係性を調査した結果、高GI食品であるお米の摂取量が多いほど、質の高い睡眠が得られたことが報告されています。
寝る前に糖質を取ると太ると言われますが、科学的にはいつ食べても太る時間帯は関係ないなら、睡眠の質が上がる夜に食べた方ががいいということです。ただし当たり前ですが、食べ過ぎれば体に負担がかかります。ガッツリではないデザート程度の糖質を寝る1時間前くらいにするのが良いです。
運動習慣を見直す
国内外の様々な研究から適度な運動が、睡眠の質を高めることが分かっています。また、運動習慣のある人は、不眠や睡眠障害になりにくいことも明らかになっています。1回の運動ではなく、習慣的な運動を継続することが大事です。
しかも、そこまで激しい運動は必要ありません。ウォーキングやジョギング、ヨガやストレッチなど軽く汗をかく程度の運動でも習慣にすることで、睡眠は違ってきます。
3日坊主で運動が続かないという人には、NEAT(ニート)がおすすめです。NEATとは非運動性熱酸性のこと。ウォーキングやジョギング、筋トレ、水泳、テニス、ストレッチなどの健康維持や体力向上のための運動以外のことです。
例えば、通勤や家事移動のための歩行や階段の上り下りといった日常生活での活動で消費されるエネルギーを指します。私たちの一般的なカロリー消費量は1500~2000キロカロリーくらいですが、ほとんどが基礎代謝とNEATによるものです。
日中の運動の習慣化が難しいのであれば、普段から意識して日常生活の中での活動を増やすことでも、睡眠の質は向上させることができます。
今回紹介した、メンタリストDaiGoさんの書籍「賢者の睡眠」について、まだまだ紹介できていない部分が多いです。おすすめの本ですので、睡眠の質をしっかり上げたい方は、ぜひ手にとってみてください!