【専業主婦は稼いでいないのか?】換算するといくら?『2億円と専業主婦』要約

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2億円と専業主婦、あなたならどちらをとりますか?

この記事では、橘玲さんの書籍「2億円と専業主婦」を取り上げます。

本書は、男性も女性も幸せになる生き方についての本。

人生を経済的な側面から考えれば、豊かになるために最も重要なのは家庭の生涯賃金を最大化すること。

もちろん夫婦の時間や子供への愛情を諦める必要もありません。

母親が働くと子供がかわいそうという意見がありますが、これは大きな誤解で、長い人類の進化の歴史の中では、母親はずっと働きながら子供を育てきました。

 

人生を設計する時のキーワードは、“経済合理的な選択をすること”

幸福な人生について考えることができる内容なので、ぜひ最後までご覧ください!

<橘玲さんの書籍はこちらでまとめて紹介しています>

 

1. 専業主婦は2億円損する

three round gold-colored coins on 100 US dollar banknotes

 

いきなりショッキングな事実ですが、専業主婦は2億円損をします。

これは嘘でも冗談でもありません。

厚生労働省所管の調査機関から刊行された「ユースフル労働統計2018」の賃金構造基本統計調査によると、大卒女性が60歳までフルタイムの正社員として働き続けた時の平均的な生涯賃金は、退職金を除いても2億円あります。

 

以下の本書からの引用図を見てください。

これは日本人の生涯賃金について、最も信頼性の高いデータとなっています。生涯賃金は学歴によって異なりますが、女性の場合全ての専業主婦が1億円以上損をすることになります。

学歴が低いから働いても仕方がないということではありません。

大企業で働く大卒女性の生涯賃金は約2億5,000万円。しかも、ここには退職金が含まれていません。

最近では、定年後も再雇用で65歳まで働くことが普通になりましたが、それも計算には入っていません。これらも加えると、専業主婦を選択することで失う富は、3億円近くになります。

それでも女性がそんなに稼げるわけがないと思ってしまうのは、日本のような豊かな国で働くことが生み出す富について正しく理解している人が少ないからでしょう。

 

正社員で復帰しなければ1億4,000万円の損

日生基礎研究所は、子育てが一段落して正社員として仕事に復帰しなければ1億4,000万円の損になると試算しています。

先ほどのとおり、大卒女性が2度の出産を経て正社員として働き続けるとして、育休や時短を利用しても生涯賃金は2億円を超えます。

一方で、第一子出産後に退職し、第2子の子育てが落ち着いてからパートで再就職した場合の生涯所得は、約6,000万円に留まります。

0円と6,000万円でも大きな差ですが、2億円と比べて1億4,000万円もの損を、仕方ないと受け入れられるでしょうか?

 

日本ではずっと、専業主婦イコール幸福だと考えられてきましたが、今では子供の手が離れたら働くのは当たり前になっています。

当然、いろいろな問題をひとまずおいて考えれば、1億円以上も損するなら、子供が生まれてからも正社員のまま夫婦と物働きを続けた方がいいからです。

専業主婦から共働きへの大きな変化の背景には、次の3つのことが挙げられます。

  • 少子高齢化で日本経済が人手不足になり、女性や高齢者が働きやすくなった。
  • 政権が全ての女性が輝く社会づくりを掲げて、女性の労働参加を促すようになった。
  • 働き方改革でサラリーマンの身分が不安定になり、世帯所得が減ってきている。

このような背景により、日本社会の近年の劇的な変化は明らかです。

 

2. 実は子供は勝手に育つ

toddler sitting on wooden bench

 

多くの人が勘違いしていることですが、実は子供は勝手に育つのだと著者は言います。

子育ての問題点は、親がどんなに頑張ったからといって報われるとは限らないことです。

子供は親の言うことを必ず聞くわけではありません。子供には、親との関係よりはるかに大切なものがあるからです。

 

それは、友達関係です。

原始時代はもちろん、江戸時代や戦前でも、乳幼児の死亡率は非常に高く、親はできるだけたくさん子供を産み、1人でも2人でも無事に成長するのを祈るしかありませんでした。

親は新しく生まれた赤ちゃんに手がかかり、父離れした子供を世話することができません。

そんな中で、幼い子供の面倒を見たのは、兄や姉もしくは年上のいとこたちでした。

子供たちは、このグループから除け者にされては生きていけない。

子供にとって、本当に大事なのは親との会話ではなく、自分の面倒を見てくれる目上の子供たちとの付き合いです。

 

保育園は子供も親も幸せにする

また、保育園は子供も親も幸せにするというデータもあります。

先ほどの人類の子育ての歴史から、母親と子供が1対1で閉鎖された空間に長時間一緒にいるはものすごく異常なことです。

子供はそうした子育てに適応していないため、愛情たっぷりに育てられてもそれに応えてくれる保証はありません。

子供にとっては、保育園や幼稚園のような同年代の子どもたちに囲まれた環境の方が、ずっと普通なのです。

経済学者の山口慎太郎氏の調べでは、子供のコミュ力は同年代の子どもたちとの交流の中で伸びていくことが分かっています。

そして四大卒以上よりも高卒未満の母親の家庭で、子供を保育園に通わせると、言語の発達が促され多動性と攻撃性が抑制されることも分かっています。

 

さらに、保育園は親にも良い効果があります。四大卒以上の母親については、さほどの変化はありませんでしたが、高卒未満の母親ではしつけの質と幸福度が大幅に改善し子育てのストレスが大きい。

これは一般に、考察未満の母親のいる家庭の方が厳しい環境で子供を育てているからだと考えられます。

経済的にも心理的にも余裕のない家庭では、子供への虐待やネグレクトが起きやすくなるので、こうしたリスクを減らし子供を守る上でも、保育園はとても効果的です。

 

子供に手をかければよく育つは間違い

子供は、社会の中で育ちます。

子供は友達関係の中で自分のキャラを作り、成長していきます。親はその家庭に関わることはできないので、子育てに成功も失敗もありません。

世間では、相変わらず親の育て方が子供の人生を決めると強く信じられていますが、この誤った認識が子育て中の親とりわけ母親の大きな負担になっています。

多くの研究で、子育てにおいて過度な努力が実を結ばないことが明らかになっています。もちろん、虐待やネグレクトが子供の健全な成長を損なうことは間違いありません。

しかし、子供に手をかけ、お金をかければかけるほど、子育てがうまくいくという科学的根拠はありません。

 

言ってしまえば、普通に世話をしていれば子供はそれなりに育ちます

そして、虚しいことにそれ以上の子育ての努力は大抵報われません。だったら子育てに力を入れすぎてもしょうがないのではないでしょうか。

そんな自己満足に時間を使うのではなく、家事は適当に手抜きして働いてお金を稼いだ方がずっとマシです。

進化論的に考えるなら愛情があれば、家事・育児は手抜きしても子供の成長にはほとんど影響しないというのが、最も説得力のある主張です。

 

3. 共働きフリーランスが最強である

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専業主婦という罠にはまらないようにするためには、共働きフリーエージェントでニューリッチを目指すことです。

近年では、自営業者のことをフリーランスやフリーエージェントとも呼ぶようになりました。

フリーエージェントは好きなことに人的資本の全てを投資します。

フリーエージェントは大きな人的資本を持っているので、ソロ充からやがてソロリッチになります。

ソロ充とは仕事はできるけれど、異性との交流にはあまり興味がない人。

ソロリッチとは、恋人や友達といった社会がないまま高い給料を得て、貯金もできるようになった人的資本と金融資本が充実した人のこと。

 

最強のニューリッチ

もちろん、ソロのままでもいいのですが、ソロリッチ同士がカップルになると、最強のニューリッチが誕生します。

ニューリッチは経済的に恵まれていますが、高級ブランドや高級車豪邸や別荘には興味がありません。

アルマーニを着て三ツ星レストランに行くことよりも、豪華クルーズよりもユニクロのフリースで近所のビストロに行って、夫婦で美味しいワインを飲むとか子供たちと山に登って自然に触れる方がいいという人たちです。

実際、こういったニューリッチの人たちがアメリカでは近年増えてきています。人的資本をすべて投資しているので、それぞれ仕事は忙しいでしょう。

しかし、会社に縛られてはいないので時間の融通はききます。

子供が生まれてもお互いの仕事に都合に合わせて、家事や育児を分担できます。

 

老後=人的資本を全て失った状態

また、ニューリッチはいつまでも働こうと思っています。

お金が貯まったら、悠々自適に生活を楽しむわけではなく、好きな仕事を通じてずっと社会にかかっている方がかっこいいと考えています。

少し前までは、60歳の定年まで頑張って働き、退職金を受け取ったら悠々自適。

これが日本人の理想だとされていましたが、今ではそんな人生に憧れている人は多くないです。

近年、老後問題について叫ばれていますが、老後問題については老後が短ければ問題はなくなりますよね。

“老後とは何か”を考えるととてもシンプルで、人的資本を全て失った状態のことです。私たちが富を手に入れる方法は、原理的には以下の2つしかありません。

  • 人的資本を労働市場に投資する(働く)こと
  • 金融資本を金融市場に投資する(資産運用する)こと

ほとんどのサラリーマンは定年を迎えると、人的資本がゼロになります。

あとは金融市場から富を得るほか、ありませんとはいえその投資の大半は年金という形で、日本国に運用を外注しています。老後は金融市場から富を得ることになります。

 

ここで大事なことは、老後は自らの意志で長くすることも、短くすることもできるということです。

50代でアーリーリタイアメントすれば、当たり前ですが、その分長い老後を過ごすことになります。

仮に80歳まで現役で働けば、こちらも当然老後は短くなります。

長い老後を維持するためには、より多くの金融資産が必要。逆に、老後が短ければ金融市販が少なくて済みます。

老後問題とは、人的資本を失ってからの、働かない期間が長すぎることです。

だとすれば、老後の経済的な不安を解消する最も簡単な方法は、老後を短くすることです。

生涯共働きが、一つの最強の選択肢になるのです。

 

生涯現役+年金繰り下げ

人生100年時代を迎え、ファイナンシャルプランナーの中には安心して老後を過ごすには、退職時点で5,000万円の貯蓄が必要と述べ、ハイリスクな金融商品への投資を勧誘する人さえいます。

しかし、生涯現役なら老後のための資産形成ができるし、繰り下げによって年金額を増やすこともできます。

夫婦揃って生涯現役+年金繰り下げであれば、老後の生活ますます安泰です。

そう考えれば生涯共働きを超える最強の人生設計はないでしょう。

人生100年時代の人生戦略は、いかに人的資本を長く維持するかにかかりますそのためには好きを仕事にすることが一つの有力な選択肢です。

どんな人も60年間嫌いなことをやり続けることはできないでしょう。

私たちは好きを仕事にする以外に生き延びることのできない、残酷な世界に放り込まれてしまったということです。

 

今回紹介した、橘玲さんの書籍「2億円と専業主婦」については、まだまだ紹介できていない部分が多いです。

人生設計を考えるうえでおすすめの本ですので、ぜひ読んでみてください!

 

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