脳と身体の親密な関係、知っていますか?
この記事では、モリ・マルーフさんの書籍「脳と身体を最適化せよ」を取り上げます。
私たちの細胞には生命力がありますが、慢性的なストレス、運動不足、睡眠の質の低下、コミュニケーション不足による孤独など、私たちの生命力は日々弱っています。
生命力がなければ、健康に長生きができません。本書はこれからの人生を自らの意思に従って、活き活きと活動的に生きられるようになることを目的に書かれました。
脳と身体を最適化する方法を知ることができる内容なっています。
さっそく、中身をみていきましょう!
1. 運動で脳と身体を鍛える
運動は、 身体と脳の活性化に欠かせません。
遺伝的に、活発な活動量に適応してきた私たちにとって、運動不足は健康被害の大きな原因となっています。
まずは、運動のメリットを押さえておきましょう!
週に○○分の運動を心がける
現代人の多くは代謝的に不健康な状態にあり、その大きな理由が運動不足にあります。
世界保健機関(WHO)は、5歳〜17歳までの場合は1日60分以上、18歳以上の場合は週150分以上の運動を推奨しています。
これは高い目標に聞こえるかもしれませんが、実は人間の体は約20万年前から、そのようなレベルの身体活動に遺伝子的に適応してきました。
狩猟採集生活を送っていた私たちの祖先は、生き延びるために日々中程度の運動量を保っていたのです。
座りがちな現代人にとって、この運動量は必要最低限と言えます。
週150分以上の運動を目標に、少しずつ運動量を増やしていきましょう。
運動こそ最も効果的なバイオハッキング
運動は、自分で手軽にできる最も効果的な健康対策の1つです。
運動はミトコンドリアのエネルギー産生量を高め、特に心臓、肺、脳といった重要臓器のミトコンドリアの数と機能を増強します。
つまり運動には、短期的にエネルギーを増やす急性効果と、長期的に病気のリスクを下げる慢性効果の両方があるのです。
安価で簡単に、体と脳の活性化が望めるため、運動は最高のバイオハッキングツールと言えるでしょう。
運動初心者の場合は、軽めの運動から徐々に量を増やしていくことが賢明です。
体は少しずつ負荷を高めていくことを好むので、無理のない範囲で続けられるペースを見つけましょう。
人生の別れ道は筋トレにあり
著者が最も重視するのは、ウェイトトレーニングです。
筋トレは骨や筋肉を鍛え、代謝を高め、全身の調子を整える効果があります。
十分な筋力があれば、高齢になっても自立した生活が送れるかもしれません。
しかし、筋トレを適切に行うためのノウハウが分からない人も多いでしょう。無知なまま練習を続けると、怪我のリスクも高まります。
そこで、まずはトレーナーやインストラクターに教わり、正しいフォームを身につけることをおすすめします。2、3回のレッスンで基本が学べます。
具体的には、スクワット、デッドリフト、プルアップ、ダンベルショルダープレスなど、複数の種目のやり方を覚えましょう。
そこから6つの種目を選び、各8〜10回を2〜4セット行うのが一般的なメニューです。休憩時間は1〜2分程度が適切でしょう。
2. 栄養のベストとワースト
一般論を鵜呑みにせず、自分の体の反応を見守りながら、賢明な食材選びを心がける事が健康につながります。
食生活は健康の土台となる大切な要素。
ここからは、健康的な食生活を送るための3つに留意点を解説します。
「身体に良い食べ物」には個人差がある
栄養学には一般論がありますが、個人個人で反応が異なる点を忘れてはいけません。
ある食品が一部の人には効果的でも、他の人には何の変化もない場合があります。
自分に合った食品を見つけるには、試行錯誤が必要不可欠です。
例えば、豆類や穀物を上手く消化できない人もいれば、赤身肉を食べて健康を維持できる人もいます。
専門家が「○○は良い食べ物」と言っても、必ずしも自分の体に適しているとは限りません。
この点をしっかり理解しておく必要があります。
避けるべき脂肪と摂取すべき脂肪
避けるべき脂肪の代表格が「トランス脂肪酸」です。
人工的なトランス脂肪酸は健康被害の原因となり、政府から食品企業に対して使用制限を求められています。
マフィン、パイ、ポップコーン、マーガリン、ファストフード料理などにトランス脂肪酸が多く含まれているので注意が必要です。
一方で、積極的に摂取したい脂肪として「オメガ3脂肪酸」があります。
オメガ3は脳の健康維持に重要な役割を果たし、認知症などのリスクを下げる効果が期待できます。
脂肪の多い魚(サバ、マグロ…)やアマニ、クルミなどから摂れます。
避けるべきタンパク源と適切なタンパク源
現代人は過剰にタンパク質を摂取している傾向にあります。
特に赤身肉の過剰摂取は、血糖値の上昇や糖尿病のリスクを高めることが分かっています。加工肉類も避けたほうが賢明です。
代わりに、赤身肉や魚介類、鶏の胸肉、ジビエ肉といった、脂肪分が控えめなタンパク源を選ぶようにしましょう。
また、放し飼いの家畜肉は飼育環境の違いからオメガ3脂肪酸を多く含み、より健康的です。
3. スマホ中毒と孤独から脱出する
ここからは人間関係について、スマホ中毒と孤独から脱出するという2つのポイントを基に、脳と体を最適化する方法を解説していきます。
社会的つながりがエネルギーを生む
人間は進化の過程で、社会的つながりを深めてきました。
それは生命の繁栄に欠かせない要素だったからです。
私たちは共同体の中で、言葉や表情、テクノロジーを通じてコミュニケーションを取り合い、互いに役割を果たしながら集団の目標を達成してきたのです。
社会的つながりの質が良ければ、エネルギー代謝にもよい影響があります。
一方で、人間関係に苦しめば、エネルギーを無駄に消費してしまう「現実逃避行動」に走りがちです。
研究によれば、心理社会的ストレスはミトコンドリア機能にまで影響を及ぼすそうです。
スマホを使わない人ほど幸福度が高い
テクノロジーは生活を便利にした一方で、スマホ中毒や情報ストレスなどのデメリットもあります。
アメリカでは、子どもたちのソーシャルメディア(SNS)の利用時間が1日120分以内であることが推奨されています。
最もスマホの影響を受けていると考えられるZ世代では、画面を見る時間が最も少ない人ほど幸福度が高いことが分かっています。
ソーシャルメディアは、新しい情報に「ドーパミン」が大量に放出される中毒性の高いサービスだからです。
人間関係を大切に、上手にテクノロジーを活用する
長年の研究から、以下のことが分かってきました。
- 社会的つながりが良好であれば、健康で活力のある生活が送れる
- 一方で人間関係に問題があれば、エネルギーを無駄に消費してしまう
- スマホ中毒は現代人の大きな問題で、最小限の利用に抑えるべき
つまり、人と人とのつながりを大切にし、テクノロジーは上手に活用するという「ベストバランス」を見つける必要があるのです。
SNSは便利ですが、リアルな人間関係を疎かにしてはいけません。
身近な人々と触れ合い、思いやりの心を忘れずにいましょう。そして、スマホやSNSはあくまでツールとして有効活用する。
このようなバランスを意識することで、健やかな生活と人間関係が保てるはずです。
テクノロジーに振り回されるのではなく、人間らしい生き方を大切にすることが、健康で幸福な人生への第一歩なのかもしれません。
今回取り上げた、モリ・マルーフさんの書籍「脳と身体を最適化せよ」の内容をより詳しく知りたい方は、本書をぜひ手にとってみてください!