ゴシップ記事、かわいい動物の動画、SNSからの絶え間ない通知。私たちは終わりなき情報の無差別集中攻撃にさらされ、重度の情報依存に陥っています。デジタルツールへの過度の依存は、
- 疲労感をもたらす
- 主体性を弱める
- 幸福度を低下させる
- 負の感情を増幅させる
などに加え、私たちにとってより大切な活動から注意を奪います。私たちは、この依存から意識的かつ戦略的に逃れる必要があるのです。その考え方とやり方が書かれた本が、「デジタル・ミニマリスト:本当に大切なことに集中する」です。
この記事では、その中からエッセンスと呼ぶべき部分について解説していきます。デジタルツールを使いすぎているなと感じている方は、ぜひ参考にしてみてください!
1. デジタルツールを使えば使うほど不幸になる
やらなきゃいけないこともやりたいこともたくさんあるのに、SNSが止められない。InstagramやTwitterが巧妙に仕掛ける依存の仕組みに争うには、一時的なデジタルデトックスじゃ足りません。本書では、スマートフォンとSNSから可処分時間・可処分精神を守り、情報の見逃しを恐れず、大切なことを大切にできる思考法を“デジタルミニマリズム”と名付けています。
多くの人は、インターネットがもたらす未来を信じていました。誰もGoogleマップのない生活を望んでいませんし、今使ってるSNSを辞めるつもりもありません。一方で、テクノロジーとの関係を今のまま維持していくのは疲労感もあり、どこか無理そうだとも感じていませんか?
集中を妨げるものを仕事場などから無理に排除しようとすると、生活の質や充足感が低下しているような気がしてさらに大きなストレスを感じてしまう。デジタルツールは、高依存を促進するように設計されています。
Instagramをチェックしたい、LINEに新しいメッセージがないか確認したいという衝動は、目の前の事に集中すべき時間を細切れにし、日々を主体的に過ごすのに必要な平常心を乱します。さらに、日常を切り取って念入りに編集された友人の投稿に始終接していると、劣等感にさいなまれます。これに抗う方法として、
- デジタル安息日を設ける
- 夜はスマートフォンをベッドに持ち込まない
- 通知を切ってマインドフルに過ごす
といった、対策を聞いたことありませんか?
しかし、ちょっとした軌道修正を試したことがある人なら気付いていると思いますが、意志の力や小さな工夫、漠然とした決め事だけでは、新しいテクノロジーを退けるには力不足です。必要なのは、自分の根本を成す価値観に基づいた、テクノロジーの利用に関する哲学。どのツールを利用するべきか、どのように使うべきかという問題に、明確な答えを提示すること。選んだツール以外の一切を無視できるだけの自信です。
デジタルツールと付き合う上では、少ないほど豊かになれるとする考え方ことが、デジタルミニマリズムなのです。これを身につけると、オンラインで過ごす時間を容赦なく削り、ごく少数の価値のある活動に集中することによって、大きなプラスの変化を経験することができるそうです。
2. 社会的生物ゆえの承認欲求
デジタルツールは便利なんだから、どんどん使わないと他の人に置いていかれるでしょ? と思いますよね。一方で、過度と分かっていながら、なぜデジタルツールに熱狂してしまうのでしょうか?
私たちは遺伝子レベルで、他人からどう思われているかをまったく無視することはできません。私たちは、他人からの評価を強く意識するように、進化してきました。旧石器時代の頃は、部族のほかのメンバーから尊重されているかは重大な関心事でしが、生死に関わる問題だったからです。しかし21世紀の今、この本能的衝動は新しいテクノロジーにより、金銭的利益をもたらす“行為依存”を生み出すことに利用されてしまっています。
ここで、SNSのフィードバックボタンを考えてみましょう。Instagramの投稿したばかりの写真にハートマークがたくさんくると、承認してもらったような気分になります。そして、この承認欲求へ依存したくなるパワーは絶大です。Facebookの“いいね”ボタンの開発担当として務めていた、リア・パールマンは“いいね”ボタンの威力を知っているため、とても警戒しています。
小さな会社の経営者となった現在、リアは承認欲求をあおってくるFacebookに影響されないように、専属のソーシャルメディア担当者を雇い。自身のFacebook のアカウントを管理してもらっているそうです。そこまでしなくても・・・と思うかもしれないですね。
ソーシャルメディアの通知をチェックすることについて、パールマンは新しい通知があってもなくても、どの道そこまで気分は上がらないと言います。何を期待しているにせよ、それが完全に満たされることはないんだと。
3. デジタルミニリストになるための実践的な方法
テクノロジーとの関係を根本的に変えるには、思い切った行動が必要です。デジタルミニマリズムとは、自分が人生において重要だと思っていることにプラスに働くか否かを基準に、厳選した一握りのツールの最適化を図り、オンラインに費やす時間をそれだけに集中し、他のものは惜しまず手放すテクノロジー利用に関する哲学です。
デジタルミニマリストになるための最善のプランは、短期決戦でデジタル片付けを行うこと。習慣をちまちま変えていく方法は、成功率が低いです。デジタルツールは人の注意を引きつけることにとても長けていて、その便利ゆえに、そこから逃れようとするあなたの意思の力を弱めてしまうからです。デジタル片付けは、次の3ステップからなります。
30日のリセット期間を定め、必ずしも必要でないテクノロジーの利用を休止する
これはアプリのみならず、ウェブサイト、ゲームや動画配信サービスも含まれます。必須ではないテクノロジーは、それがなくても仕事やプライベートに影響がなく、重大な問題が発生しないものを指します。
それらをすべて禁止しても良いし、運用規定のようなものを定めて、いつどのような場合なら利用してもよいかを具体的に決めておくでも良いです。運用規定をリストアップできたなら、毎日必ず目にする場所に貼っておいてください。リセット期間中にやって良いことといけないことを、明確に線引きしておくことが成功の秘訣です。
30日間に楽しくてやりがいのある活動や行動を、新しく探したり再発見したりする
リセット開始から1,2週間はおそらく混乱を感じることになります。禁止したアプリなどを見たい衝動と、戦わなくてはいけません。しかし、その衝動はきっと数日で消えます。
代わりに訪れるどこか抜けたという感覚は、リセット完了時に明快な判断を下すのに役立ちます。そして、リセット期間中には、要らないテクノロジーを利用しなくなった時間を埋める、もっと価値の高い活動を積極的に探しましょう。リセットするための30日は、精力的に試行錯誤を繰り返す期間となります。
休止期間が終わったら、まっさらな状態の生活に休止していたテクノロジーを再導入する
以下の3つの条件で、アプリなどを再導入してみましょう。
- 大事な事柄を後押しするもの
- 大切な事柄を支援する最善の方法である
- 具体的に定めた運用規定に則り、生活に貢献できるもの
です。この条件は、これから新しいテクノロジーの導入を検討する際にも活用できます。しかし、より大きな効果が期待できるのは、リセット期間明けに活用した場合です。テクノロジーの利用を休んでいたおかげで、自分が価値を置いている物事が明快になり、ここまでのデジタルテクノロジー必要ないんだ!という自信が生まれているからです。再導入のステップを終えたとき、あなたの生活においてテクノロジーが果たす役割は、以前と比べて大きく変化していることでしょう。
そして、このリセット期間に、それまで生活から締め出されがちだった大事なことを中心に捉え直しましょう。30日間、必須ではないテクノロジーから離れることで、あなたのデジタルライフがデトックスされれば、そこから新たなデジタルライフを再構築できます。意識的な決断を心がけて慎重に再導入を行えば、あなたもデジタミニマリストの仲間入りです。テクノロジーに奪われる時間を減らし、集中力や生産性を高めることで時間を有意義に使いたいと思うのならば、私たちは自らの手でリセットボタンを押さなくてはいけないのです。
4. デジタルツールとの向き合い方
この本を読んで、さっそくデジタル片付けをしよう!と思った方はぜひやって見てください。しかし、アプリをすぐに消すまではできない…!という方もいるはずです。そんな方に個人的におすすめなのが、アプリの時間制限機能です。
私はそんなに見る必要ないのに、よく見てしまうアプリに1日15分の時間制限を設定しています。アプリに集中し出すと、5分10分簡単に経ってしまうので、この機能を使うことでアプリに費やしている時間を客観的に知ることができます。
また、家にいるときにこまめにスマホの電源を切ってみるのも、アリだと思います。電源を切れば、次に電源を入れてアプリを見るまでのハードルが上がり、無意識に見てしまうことが少なくなります。ハードルが上がることで、スマホを使わない他のやりたいことの優先順位が自然と上がり、時間があったらやろうと思っていたことへ自然と手が伸びるのではないでしょうか。
スマホで得ている情報は、それが重要そうな時事ニュースであっても大抵が受動的で、個人にとってはどうでもいい情報です。自らが本当に大切にしたいこと、知りたいことに集中するためにも、デジタルミニマリズムを実践し、デジタルツールとの向き合い方を見つめ直すことは大事です。
今回は以上です。本書「デジタル・ミニマリスト:本当に大切なことに集中する」が気になった方は、ぜひ手にとってみてください!