日頃からミスすることは、多いですか?
この記事では、樺沢紫苑さんの「絶対にミスをしない人の脳の習慣」を紹介します。
ミスをしない人は、ワーキングメモリの処理容量が大きいです。ワーキングメモリは、記憶を一時的に保存する保管庫で、鍛えることで容量を大きくできます。本書では、このワーキングメモリの鍛え方、効率よく使う術が書かれています。ミスを減らすための脳の使い方を、一緒に学んでいきましょう!
1. ワーキングメモリを鍛えるには
ワーキングメモリを机の上に例えるなら、作業する机の広さが広ければ、複数の書類を並べながら複雑な作業ができます。私たちは、脳の作業スペースであるワーキングメモリを使って、一時的に情報を記憶し、それを元に考え、計算したり、判断したりしています。この一時的な記憶は、数秒から長くても30秒くらいと言われています。それほどまでに、私たちの脳内では情報の取捨選択が、目まぐるしい速さで行われているのです。
そのため、ワーキングメモリを鍛えることで、一度に処理できる情報量が多くなり、頭の回転が速くなるばかりか、ミスもしなくなるという大きなメリットがあるのです。
ワーキングメモリを鍛える方法は、
- 7時間以上の睡眠
- 有酸素運動
- 自然の中での運動
- 読書
- 記憶力を使う
- 暗算
- ボードゲーム
- 料理をする
- マインドフルネス
の9つです。簡単に効果を紹介します。
2. 9つの具体的な方法
7時間以上の睡眠
まず、ワーキングメモリの処理能力を100%発揮するためには、必要十分な睡眠が欠かせません。睡眠不足の状態だと作業にかかる時間が増え、ミスの数も増えてしまうことは数々の研究が示していますし、みなさんも身をもって体感していると思います。睡眠時間が6時間を切ると、パフォーマンスの低下につながります。必要な睡眠時間には個人差がありますが、多くの人にとっての理想の睡眠時間は7~8時間とされています。
有酸素運動
有酸素運動(酸素を使う運動)には、ジョギング、スイミング、サイクリングといったある程度時間をかけながら少~中程度の負荷をかけて行う運動があります。有酸素運動は、ワーキングメモリに限らず、集中力・記憶力・理解力など多くの脳のパフォーマンスをアップさせてくれます。有酸素運動は最強の脳トレとも言われる所以です。
自然の中での運動
自然の中で運動することは、自然豊かな道緑豊かな公園などで運動することにより、ワーキングメモリが鍛えられます。また、ストレス発散やリラックスの効果も同時に得られるので、一石二鳥どころではありません。
読書
読書をすることで鍛えられる読解力とワーキングメモリには相関関係にがあります。ワーキングメモリが鍛えられると同時に読書についても、新しい知識を得て人生の幅が広がる、ストレス解消といった効果があります。
記憶力を使う
記憶力を使うこと、特に著者のオススメは、語学学習や資格試験、昇士試験の勉強です。これらは必ず暗記を必要とする勉強なので、記憶力をとても使います。特に、英語や昇進試験は、直接自分のキャリアに役立ったり、人生の選択肢を広げたりできるので、モチベーションが保ちやすいと思います。
暗算
暗算は、まさに直接的にワーキングメモリを使う作業です。例えば、17+69を暗算してみてください。この時、繰り上がりの処理があるので、数字を頭の中で仮置きしておく必要がありますよね。この力がまさにワーキングメモリの作業机の広さに当たります。普段から急を要しない時は、計算機に頼らずなるべく暗算することで、ワーキングメモリを鍛えることができます。
ボードゲーム
チェス・囲碁・将棋・オセロなどのボードゲームは、1手2手、3手先を読む必要があります。この時、自分がこうすれば相手はこうするだろうと、様々なパターンを頭の中でシュミレーションしますよね。このプロセスで、ワーキングメモリが鍛えられます。遊びながら脳を鍛えられるのでボードゲームは優秀です。
料理
料理も意外と頭を使います。複数の作業を、どの順番でこなせば効率よくこなせるのかを考えながら進めるので、段取り力が問われます。また、料理自体が楽しいですし、人と一緒に作ることでコミュニケーションを取れるので、ストレス発散の効果もあります。
マインドフルネス
ここで言うマインドフルネスとは、今この瞬間の自分に注意を向けること。マインドフルネスを実行するためには瞑想がオススメです。やり方としては、背筋を伸ばして座り、自分の呼吸だけに意識を集中すること。1日たったの5分の瞑想でも習慣にすることで、ワーキングメモリの向上、幸福度アップ、免疫力アップ、ストレスダウンというたくさんのメリットを得ることができます。
これについては、こちらの記事で詳しく書いているので、合わせて見てみてください。
2. 作業効率を上げる小技3選
ここからは、作業効率を上げる小技を、本書から3つ紹介します。
デュアルタスク
“シングルタスク”や“マルチタスク”という言葉を聞いたことある方は多いと思います。シングルタスクとは、言葉どおり一つの作業のみ取り組むこと。マルチタスクとは、複数の作業に同時に取り組むことです。脳の構造上、マルチタスクだとミスが増えるのでかえって時間がかかる、作業は一点集中のシングルタスクのほうが効率的というのが現代の定説です。
しかし、この定説には例外があります。それが、有酸素運動と脳のトレーニングを同時に行う“デュアルタスク”です。酸素運動を行いながら脳を使う作業をすると、脳の処理能力が上がるだけでなく、脳が鍛えられたり、いいアイディアが思いつきやすくなったりします。その理由は、有酸素運動によって脳内に流れる血流が多くなり、酸素がより行き渡るからです。
例えば、英語のリスニング教材や学びとなるYouTube動画を耳で聞きながらジョギングをすると、スムーズに理解できて、記憶にも定着しやすくなります。
手書きメモ
手書きメモのメリットは2つあります。1つは、集中力と記憶力があがること、もう一つはワーキングメモリの容量に空きができることです。まず、手で文字を書くことによって、ノルアドレナリン、セロトニン、アセチルコリンといった脳内物質が放出され、集中力と記憶力がアップします。
脳の作業机の上にやるべきタスクが散乱していると、ワーキングメモリはすぐにパンクしてしまいます。やるべきことを、“いつどこで片付けるのか”メモに書き出すことで、脳の作業机からいったん片付けておくことが有効です。
3ポイント勉強法
最近の研究によると、人は情報を3つの塊に分けて覚えるのが、一番覚えやすいと言われています。例えば、電話番号は11ケタの数字の列で構成されていますが、実はハイフンのあり/なしに関係なしに、無意識に「000-1234-5555」というように、3つの塊で記憶しています。
そこで著者が提案するのが、この脳の仕組みをうまく利用する3ポイント勉強法です。これは人と会う時やセミナーや講演を聞くときに、何か3つだけをちゃんと理解して吸収しようと意識する方法です。3つの目的意識をあらかじめ設定することで、脳科学的に学習効率を上げられます。しかも、このやり方は復習もしやすいです。また、3ポイント会話術みたいな感じで他のことにも応用できます。脳にとって一番しっくりくる“3つ”をあらゆるところに応用していきましょう。
ワーキングメモリは後天的に鍛えて伸ばすものです。今回紹介したトレーニング方法の中から、自分に合うものを見つけら選んで、少しずつ取組み、良い習慣にしてみてください。より詳しく内容が知りたくなった方は、本書「絶対にミスをしない人の脳の習慣」をぜひ手にとってみてください。