外食は好きですか?
この記事では、南清貴さんの書籍「実はもっと怖い外食 外食・中食産業の最前線で聞いた危険すぎる話」を紹介します。本書では、私たちが知らない間に食べている、実は危ない外食の真実が書かれています。
著者はフードプロデューサーとして、外食産業に長年携わってきた現状や裏側を痛いほど知っている人物。外食の危険性を骨身にしみて知っており、安心・安全な食は家庭にしかないことを確信しています。
今回の内容を知れば、外食がいかに恐ろしいのかを理解できるはずです。これからは覚悟を持って、外食してした方がよいかもしれません。
例えば、多くのチェーン店の調理場では、調理など行われていないのが現実です。工場から各店舗に運ばれてくるものを温めて盛り付けるだけ。料理技術のないアルバイトだけでも、店が回るような仕組みになっています。
工場生産された食品には、大量に食品添加物が使われ、素材が劣悪なものである場合が多いです。また、工業的に加工された食品には、栄養価はほとんど残っていません。
それを平気な顔で食べ続けていると、あなたの身体に長期的に見て一体何が起こるのか真剣に考えたことがあるでしょうか。ぜひ今回の内容をきっかけに、もう一度あなたの食に対する態度よく考えてみてください!
1. 実は怖すぎる居酒屋の裏側
多くの人が夜に繰り出す居酒屋。ここからは、具体的なシチュエーションを交えながら、その食の怖さを紹介していきます。海産物を売りにする居酒屋のチェーン店では、500円程度でご飯・味噌汁おかわり自由の激安ランチとして魚の煮付けや干物、お肉、野菜炒めなどが食べられますよね。
そこでは例えば、アカガレイの刺身が324円ほどで提供されています。実はこれは似た深海魚で、本物のアカガレイなら、こんな値段で出すのは難しいはずです。
お皿の脇の大根のつまを鼻に近づけ臭いをかぐと、薬品臭がツンとする。これは工場でカットして消毒を施し、ザブザブと洗い流して真空パックで納品されたものを、そのまま出しているだけ。わさびは着色料で色を付けた粉末を、水で練ったもの。特有のツンとする良い香りも、薬品で香りづけされたものだろう。
さわらのバター焼き324円は、見るからに冷凍できた切り身に、店で衣をつけて焼いたもの。これもさわらではなく、さわらに育つ前の価格の安いさごちという魚の可能性が高いです。
さらに、バターもマーガリンで代用されています。マーガリンはトランス脂肪酸がたっぷりと含まれている食品で、できれば口にしたくない食品です。添えられているタルタルソース的なものには卵なんて入っておらず、油、香料、乳化剤、着色料を混ぜて作った偽物。付け合せのサラダ菜やキュウリは、強い薬品で洗浄済み。栄養価など期待できないものになっています。
脂ののった鮭は、おそらく養殖されたニジマスで、成長ホルモンの入った抗生物質をバンバン加えて早く成長させ、天然モノの1.8倍もの油を含み、化学物質の濃度が高い危険な代物。
その他イカやアナゴ、マグロなどありとあらゆる海鮮物が、本物に似た何かであったり、本物に寄せるために食品添加物が使われていたりと、徹底的に安く提供するための工夫がされています。
これらを平気で食べ続けていたら健康になれそうにないと、少しは思えたのではないでしょうか。ここまでの内容を踏まえ、居酒屋では一体どんなことに注意して、何を頼めばいいのか3つまとめておきます。
揚げ物のメニューは極力選ばない
油の使用状況が相当ひどく、ダメになりかけた食材でも揚げてしまえばわからないため、揚げ物メニューを多用している。逆に、揚げ物がまともな店は良い店である。
安すぎるナマモノは避ける
ホルモン剤抗生剤の大量投与で、不自然に脂ののったものに当たる可能性があります。つまや大根おろし、付け合わせの野菜を店内で用意していない店は危険度が高いです。
なるべく手を加えていないものを選ぶ
例えば、モロキューや冷やしトマト、山芋の千切りなどは比較的危険度が低いです。
2. 実は怖すぎるファミレスの裏側
イタリアンのメニューが充実していて、ワインも安く飲めるファミリーレストラン。ここで食べられるメニューにも、怖すぎる実態があります。
まずは、ほうれん草のソテー199円。自社工場でカットして調味料を加え、冷凍真空パックで店舗に納品し、電子レンジで温めて提供していると推測されます。これを食べると、舌にイガイガしたものが残り、色も通常よりも濃い。
確証できないですが、様々な健康被害を引き起こす硝酸態窒素をたっぷりと使っていると思われます。特に原価に厳しい外食産業においては、硝酸態窒素が多く含まれている安い野菜が使われているケースが多いです。
次に、ピザマルゲリータ399円。乗っているチーズが、どうも疑わしい。牛のミルク100% のモッツァレラチーズ使用とメニューに書いてあるが、それを使って作ったいわゆるニセモノチーズの可能性があります。
一般消費者になじみのあるナチュラルチーズ、プロセスチーズ以外に第3の“チーズフード”なるものが存在します。これはナチュラルチーズやプロセスチーズを溶かし、水や小麦粉を入れてかさ増し、乳化剤で固めて作るもの。
チーズが51%以上含まれていれば名乗ることができるため、安い外食産業や加工食品ではよく使われています。
中華料理店へ
ファミレスはこれぐらいにして、次に首都圏を中心に急成長を続けているという中華料理店へ。まず頼んだのは、野菜炒め520円。見るからに味が濃そうな色をした肉野菜炒めです。
炒め過ぎなのか、野菜にシャキシャキ感がまるでなく、タレの味が濃くて、野菜の味がさっぱりわからない。キクラゲは乾燥食品として輸入される中国産のもので、2007年に二酸化硫黄などの残留農薬問題が大きく報じられて以降も、化学物質による汚染などで安全性が疑われている食材です。
餃子210円は、つなぎなのか肉なのかわからない具材から変な臭いがする。皮にはモチモチしている品種改良剤としてプロピレングリコールが使われているかもしれません。口に残るような甘味は、皮に入っている人工甘味料と推測されます。
中華そば&半チャーハンセット630円のスープは、完全に化学調味料や添加物を合成して作った味で、しょっぱいだけで深みがありません。現代では科学的な物質だけで、誰もがおいしいと感じる豚骨ラーメンのスープを作ることができます。
化学薬品や化学調味料も何種類か混ぜて、さっとお湯を入れるだけで簡単にとろんとした豚骨スープが完成。普通のラーメン屋で使っているスープは、そうした化学調味料を薄めたような工業製品を使っているのです。
チャーシューも味が濃すぎて肉の味がわからない。麺はかん水の薬草さが強い。かん水とは、中国麺特有の食材で、コシや弾力ある食感を作り出すために用いられるもので、独特の臭みや苦みがあります。
そしてチャーハンは、おそらく化学調味料を使った粉末だしを混ぜて作っていて、とにかくしょっぱいことが気になる。メニューごとの塩分量を計算すると、中華そば&半チャーハンセットだけで、厚生労働省が発表している1日の摂取目標量を超えてしまいます。
こんな食事を食べ続けていたら、塩分の摂り過ぎになってしまうのは明らかです。ファミレスや中華料理チェーン、ラーメンチェーンなどによく行く人にとっては、ショッキングな内容だったかもしれません。
ここまでの内容を踏まえて、ファミレスなどでどのようなことに注意すればいいのか、ポイントを2つ紹介します。
セントラルキッチンの出来合い料理を選ばない
セントラルキッチンで、大量生産で調理されたものを提供するお店、マニュアル通りの出来合いのタレやスープを使って調理する店は、食品添加物依存度が高いです。
つなぎを入れてこねるものは避ける
ハンバーグや餃子など、つなぎを入れてこねるものは、食品添加物が大量に使われている危険性が高いです。
結局のところ、この手のお店で安心して食べられるメニューは本当に数少ないです。しかし、どうしても入らなければならない時は、味を薄めにして作ってもらうようお願いする。または、キュウリやトマトなど生の野菜があったら、そのまま出してくれと頼むぐらいしか逃げ道はないです。
3. 実は怖すぎるテイクアウトの裏側
ここからは、某チェーン店のサンドイッチやパンなどをテイクアウトしたと想定しましょう。
まずは、卵サラダときんぴら&チキンのサンド302円。これは、卵の風味がまるでないのに加え、パンの内側に大量のマーガリンが塗られている。アミノ酸の味だけではなく、添加物まみれの味がします。
原材料の欄には、凄まじい量の文字が並んでおり、マーガリン、パン酵母、脱脂粉乳、調味料(アミノ酸等)、乳酸ナトリウム製剤、酢酸ナトリウム、グリシン、加工でんぷん、増粘剤、乳化剤、イーストフード、カロチノイド色素、カラメル色素、香辛料抽出物、ビタミンCなど。
たかが二切れのサンドイッチの中に、なぜこんなに沢山の原材料を使わないといけないのでしょうか。
例えば、家で卵サラダ、きんぴらごぼう、ローストチキンを作るなら、もっとシンプルな材料で済むはずです。いくら工場で大量生産しているとはいえ、食べる気が失せるほどの添加物のオンパレード。
著者が外食の中で5本指に入る方と危ない食べ物だというのが、このサンドイッチです。もちろん信頼できるベーカリーで、余計なものを添加せずに作られた野菜サンドイッチをもありますが、添加物まみれとわかっているコンビニやチェーン店のサンドイッチは、食べない方がよさそうです。
牛丼について
次は、みんな大好き牛丼について。著者は大手牛丼チェーンを訪れ、牛めし380円を注文。まず米だけを口に入れてみると、おいしさや香りは少なく、臭みや医薬品臭しかしない。しばらく冷めた後に食べると、味がない。もともと水分を失っている米なのか、味の劣化が早いのです。
肝心のお肉は、味が濃すぎて味がわからない。公式サイトによると、「化学調味料・人工甘味料・合成着色料・合成保存料を使用しておりません」とのことですが、汁からは甘みたっぷりの味がする。
味噌汁60円の中には、アミノ酸が相当入っている。味に深みがなく、塩分がツンとくる。そして、ポテトサラダ130円は、何とも言えない科学的な味。このねっとり感は、蛋白加水分解物によるものだろう。
ここまでの内容を踏まえ、テイクアウトではどのようなことに注意すればいいのか、ポイントを3つ紹介します。
原材料が表記を見る
原材料が表記してあるものなら、食材以外の食品添加物をなるべく使っていないものを選びましょう。特に危険性の高いリン酸塩、亜硝酸塩、増粘多糖類、合成着色料が入っているものはより避ける。
ハンバーグ類、サンドイッチは選ばない
サイドメニューとしてあるポテト類の揚げ物は絶対に避ける
4. 実は怖すぎるスイーツの裏側について
本書では、新宿にある高級フルーツパーラーの責任者であった父親が経営するケーキ屋で、一緒に働き始めて12年になるという菓子職人の女性のインタビューが細かく掲載されており、スイーツ業界の驚くべき現場が明らかにされています。
まずそもそも、ちゃんとその店ですべてをつくっているケーキ屋さんは、本当に少ないそうです。多くのケーキ屋さんやホテルのケーキバイキングなどは、工場で作った半製品を仕入れ、それを飾ってショーケースに並べるのが当たり前。
お客さんはその違いをなかなか分からないので、そのようにしている店が増えているそうです。また、工場でケーキを作る際の材料は、安い代用品がよく使われています。
マスカルポーネについて
例えば、イタリア原産のクリームチーズであるマスカルポーネの代用品として、マスカポーネというものがあります。これは本物のマスカルポーネのような味がしますが、実際はチーズではなく、油脂加工品と呼ばれているもの。
動物性油脂が主成分の添加物がたっぷり入った、安価な代用品です。味が極めて似ているため、プロでなければ味の違いをなかなか見分けることはできません。
カスタードについて
カスタードもスイーツには欠かせないものですが、より簡単に作れるものが開発されていているそうです。専用の粉末があり、それに牛乳を混ぜるとカスタードらしきものが出来上がるのです。
さらには恐ろしいことに、コンパウンドという植物性油脂主体の生クリームも存在しています。これには体にとても悪いことで有名な、トランス脂肪酸がたっぷりと含まれており、利便性だけを重視して結構いろいろなメーカーが使用しているそうです。
本物の生クリームは熟練の職人が作るもので、硬さや柔らかさが違いケーキの見た目や味にも影響します。しかし、コンパウンドを使うと技術がなくても、見た目だけはちゃんとした生クリームが作れるのです。
ここまで聞けば結局世の中には安くて体に悪い代用品が溢れ返っているということが分かります。昔であれば、スイーツだって熟練した職人がちゃんと作っていたのに、今ではもう簡単に誰でも作れるやすい代用品がたくさん使用されているという悲しい事実をしっかり知っておきましょう。
洋菓子業界は飽和状態にあり、結局多くの店が価格競争になってしまっています。しかし、こうしたことに気づき、今後は素材の質やクオリティを求められるようになれば、少々高くたって安全なお菓子を食べたいと思うはずです。
多くの人が正しい食の知識を持つことによって、ちゃんと丹精込めて作っている素晴らしい店が自然と評価されるように、私たち消費者一人ひとりが、しっかりと食の正しい知識を身に付けていきましょう。
本書、南清貴さんの「実はもっと怖い外食 外食・中食産業の最前線で聞いた危険すぎる話」には、今回解説した以外にも例えば、回転寿司やコンビニ食などの恐ろしさが、非常にわかりやすく解説されています。食の知識を学びたいと思った方は、ぜひ手にとってみてください!